2型糖尿病患者におけるメタボリックシンドロームの左室重量への影響

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〔目的〕メタボリックシンドローム(Met S)は、内臓肥満とインスリン抵抗性を基盤とし、動脈硬化を促進し心血管疾患の発症に関与する。しかし、Met Sが心血管疾患の危険因子である左室重量に及ぼす影響の報告は少ない。今回我々は2型糖尿病患者において、Met S合併の有無と左室重量との関連をアディポサイトカインも含め検討した。〔対象と方法〕2型糖尿病患者で降圧薬未使用の2型糖尿病患者70名[男性49名、年齢50±12 (平均±標準偏差)歳]を対象とした。心疾患、脳梗塞の既往歴のある者、腎不全は除外した。心エコー図M-mode法を併用し、左室内径を計測、左室重量(Pennの方程式による)を算出し、身長の2.7乗で補正した(LVMI2.7)。Met Sの判定は2005年の日本の学会合同委員会診断基準に従った。臍部位のCTスキャンを用いて内臓脂肪面積と皮下脂肪面積を計測した。さらに、アディポサイトカインとして、レプチン、アディポネクチン、Total PAI-1、IL-6 およびTNF-α を測定した。インスリン抵抗性の評価として空腹時IRIと24時間尿CPRを測定した。〔結果〕Met Sを合併する2型糖尿病患者は44名(63%)であった。Met S群(男33名、48 ± 12 歳)、と非Met S群(男16名、53 ± 10歳)において左室重量を比較した。LVMI2.7は、Met S群で47.8 ±11.9 g/m2.7、非Met S群で39.2 ± 7.5 g/m2.7とMet S群で有意に高値であった(p<0.001)。男女別にMet Sと左室重量を検討したところ、男性でMet S群45.3 ± 8.4 g/m2.7、非Met S群38.8 ± 6.2 g/m2.7(p<0.01)、女性で55.2 ± 17.4 g/m2.7、39.9 ± 9.0 g /m2.7(p<0.05)といずれにおいてもMet S群でLVMI2.7が有意に増加していた。また、Met S群と非Met S群で左室重量に及ぼす因子をそれぞれ検討すると、Met S群では、LVMI2.7はBMI (p<0.005)、Total PAI-1(p<0.001)、レプチン(p<0.005)、皮下脂肪面積(p<0.01)、空腹時IRI (p<0.005)と有意な正の相関を認めた。また、これらの危険因子を多変量解析すると、Met S群ではTotal PAI-1がLVMI2.7の独立した危険因子であった(p<0.001)。〔結論〕2型糖尿病において、Met Sを合併する患者で左室重量増加を認め、Total PAI-1は独立した危険因子であった。Met S の左室重量の増加にアディポサイトカインが関与していると示唆された。
2010-12-25

2型糖尿病患者におけるメタボリックシンドロームの左室重量への影響

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