ダイアジノン・マイクロカプセル剤による新幹線ゴキブリの防除(化学物質・薬剤)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
東海道・山陽新幹線におけるゴキブリの被害調査ならびに殺虫剤抵抗性の実験を行うとともに,ダイアジノンMC剤による防除効果に関する現車試験を行い,下記の知見を得た。(1)新幹線のゴキブリは各種病原菌を媒介するなど衛生上の被害のほか,乗客に不快感を与え,車内では配電盤や蛍光灯.その他の電気機器類に入って車両故障の原因となる。新幹線電車では食堂車,ビュッフェが最も多く,そのほか,車両間の渡り板下部やくずもの入れ,洗面所下部,戸袋,デッキにある塔載品収納庫などに多い。(2)新幹線のゴキブリはフェニトロチオン,フェンチオン,ダイアジノンMC剤のいずれの薬剤に対しても殺虫剤感受性ゴキブリより強く,これら有機りん系殺虫剤に対してかなり抵抗性を得ていると考えられる。(3)新幹線における現行の燻煙処理だけでは残存虫が多く,十分な駆除効果は期待できない。(4)ダイアジノンMC剤は新幹線のゴキブリに対して残効性も高く,かなりの防除効果を有するが,燻煙処理より遅効性であるので,現行の防除処理行程でゴキブリがすでに多く生息する列車を処理すると,営業運転中に車両の通路や座席周辺に仮死状態で現われ死滅し乗客の目にとまるという難点がある。(5)ダイアジノンMC剤は低毒性で引火性がない上に,散布時の薬臭もほとんど問題でなく,1編成列車を2人で2時間程度で防除処理できて作業性もよい。(6)ダイアジノンMC剤による防除では1回の防除経費はもとより,従来の燻煙処理法より年間処理回数をかなり節減できるので,防除経費が相等節約でき経済的である。(7)新車,あるいは工場で解体検査を行いゴキブリがごく少ない状態の車両にダイアジノンMC剤による防除処理を一定周期で施行すれば相当な効果が期待でき,さらに,燻煙処理とうまく併用すればより有効で,効果的であると考えられる。
- 1986-06-28
著者
関連論文
- コンクリートの防蟻処理に関する研究(薬剤)
- ダイアジノン・マイクロカプセル剤による新幹線ゴキブリの防除(化学物質・薬剤)
- ゴム材料の耐蟻性ならびに耐菌性に関する研究(化学物質・薬剤)
- 小笠原諸島で発見されたナカジマシロアリとヤマトシロアリについて(シロアリ)
- ネズミ(Rattus属)に対する忌避薬剤の開発に関する研究
- 鉄道における生物被害とその防止対策 (生物防除対策と忌避への道)
- 殺虫剤含有プラスチック板の防蟻板としての効果(薬剤)
- コウモリガ幼虫によるケーブルの被害とその防除対策(II)(ガ)
- コウモリガ幼虫によるケーブルの被害とその防除対策(I)(ガ)
- シロアリの防除(シロアリ)
- 生物による電気設備の被害とその対策
- 等翅目家屋害虫の形態と生態(シロアリ)
- イエシロアリの営巣実態調査(3)(シロアリ)
- イエシロアリの加害習性および物理的防除に関する研究
- シロアリの生態--加害習性
- イエシロアリの営巣実態調査(2)(シロアリ)
- イエシロアリの営巣実態調査(1)(シロアリ)
- 建築物と害虫
- プラスチックおよび金属の微生物による劣化とその防止対策
- 建築物における基礎の高さの防蟻効果に関する研究(シロアリ)
- 建築設計・施工上からみたシロアリ予防対策
- 世界におけるイエシロアリの概観
- 第2回国際文化財生物劣化会議に出席して(国際会議)
- 東京都板橋区で発見されたアメリカカンザイシロアリについて(シロアリ)
- 金属溶射被膜による防蟻処理(第3報) : 亜鉛溶射被膜の厚さと耐蟻性に関する野外試験(化学物質)
- 金属溶射被膜による防蟻処理(第2報) : 土壌表面に溶射した亜鉛被膜の防蟻性に関する室内実験(化学物質)
- 金属溶射被膜による防蟻処理(第1報) : 亜鉛溶射被膜で被覆された材料の耐蟻性について(薬剤,シロアリ特集号)
- 広島市で発見されたアメリカオオシロアリについて(シロアリ,森八郎博士追悼号)
- 貨車の内張り合板ならびに床板の改良