看護大学生は海外体験から何を学ぶのか : 短期海外研修プログラムに参加した学生のラベルより
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿は,宮崎県看護学術振興財団助成による試験研究助成事業「看護大学生の海外体験から得られる学びについて」の中で,宮崎県立看護大学国際交流委員会が企画・実施した5つの短期海外研修プログラムについて,「学生の学び」という視点から分析し,今後の課題について検討するものである.プログラムに参加した学生が現地で記入したラベルを,企画・運営者および本学教員という立場から読み返し,教員側が期待したプログラム効果と実際に学生が記述したラベルを比較した.特に,プログラムの種類(看護講義・施設見学型プログラムと異文化理解型プログラム)や滞在形態(ホームステイと大学寮やホテル滞在)とラベルの特徴との関係に焦点をしぼり,ラベルの分析を概観し,補足的コミュニケーションを必要とするラベルの分析を行った.また,記述に見られる学生の事実と異なると思われる認識について,どのような特徴があるのか分析した.その結果,教育的効果を期待して企画したプログラムも,ただ実施しただけでは,学生が目の前の事実を意識化しない可能性が高いことがわかり,随行教員による補足的コミュニケーションの必要性が示唆された.また,ラベルの記述に見られた学生の事実の捉え方の特徴として,異文化の捉え方には3種類あり,海外と日本と比べている例の他に,自分の日常生活の場と異なる生活環境を「異文化」ととらえている例,出会ったことのない個に「異文化」を感じている例があることがわかった.今後の課題として,次の点が見えてきた:1)プログラムの種類と滞在形態と随行教員の効果的な組み合わせについての検討が必要である.2)プログラム期間中のラベル記述と共有を継続し,学生の目の前の事実の意識化や事実と異なる認識や行き過ぎた一般化の修正へ向けた援助を行えるよう,随行教員の位置づけを明確にすることが重要である。
著者
関連論文
- 看護大学生は海外体験から何を学ぶのか : 短期海外研修プログラムに参加した学生のラベルより
- 医学・看護系および工学系ESPのためのシラバスと教材開発にむけたニーズ分析(「国際語」としての英語-その教育目標と基準-)
- ESP教材論 : Specific and/or General(JACET-ESP研究会 (九州沖縄支部) 企画シンポジウム, (第40回 (2001年度) JACET全国大会)
- EAP1 コーパス分析に基づく医学・看護英語ライティングコースウェアの開発(ESP・EAP,国際交流「新」時代における大学英語教育カリキュラム刷新)
- 医学・看護英語教育システム構築に向けたコーパス分析(授業力-大学全入時代の大学英語教師)
- ESP語彙論 : Is ESP Vocabulary Sub-Technical?(「国家戦略」としての外国語教育-そのあるべき姿を求めて-)
- 医学・看護英語教育システム構築に向けたコーパス分析--看護学関連分野英語論文
- 精神看護学実習における学生の認識の発展を促す指導に関する研究
- 看護大学における英語教育へのニーズ分析--宮崎県立看護大学における事例より
- ESP(看護分野)コースで専門語彙の学習は必要か?--段階・目的別資料における語彙分布についての一考察
- 看護分野における授業デザインに必要な視点:看護大学2年次におけるオーラルプレゼンテーション実践例より
- English for nursing教材論への導入:日本の看護大学の場合 (シンポジウム報告「ESP教材論--Specific and/or General」(2001年9月14〜16日 JACET全国大会(藤女子大学)にて))
- 英語教育に関する諸要素 : 海外3地域における調査報告
- 現代に活きる中国伝統医療の実際 : 西安交通大学医学院第一附属医院康復中心における観察研修の報告
- 「宇宙地球科学」の教育はどのように看護に資するか : 医療・看護実践現場の観察を通しての論考
- プロジェクトIRC : 多読の授業における互恵的な読書環境の創出