アブラムシの虫えいに寄生する、Assara属の1新種(鱗翅目,メイガ科)
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概要
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マダラメイガ亜科Assara属は旧北区から東洋区,オーストラリア区にかけて,15種が知られている.本属の幼虫は多くが針葉樹の球果を摂食する(ROESLER,1973)が,一部の種はアブラムシの虫えいを食することが知られている(ZERNY,1934;YOSHIYASU,1986).今回,本属の1新種を台湾から記載した.新種、A. formosanaは,ウラジロエゴノキ(Styrax suberifolia)にできるウラジロエゴノキアブラムシ(Ceratoglyphyna bambusae)の虫えいから見いだされたもので,すでに高橋(1930,1935)によって,Hyphantidium sp.として知られていた.本種は,斑紋や交尾器の形態において,スマトラ産の、A.holophragma(MEYRICK)とよく似ているが,前翅前縁に広がる銀白色の斑紋部がより広いことや,雄交尾器のjuxtaやphallusおよび雌交尾器のsignaの形態などによって,区別できる.また,下唇髪が,雄では上方に強く湾曲するが,雌では斜めに上向するという点で,本属の他種と異なる.本種の食草であるアブラムシ科ヒラタアブラムシ亜科Cerataphidini族の虫えいは台湾では1年を通じてみられ,また本種の幼虫も各時期に採集されている.そのため成虫は年数回発生しているものと思われる.また,幼虫は明らかに虫えい内のアブラムシをも摂食しており,筆者の知るかぎり,第3番目の食〓性マダラメイガとなる.
- 1991-12-20
著者
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吉安 裕
Laboratory Of Entomology Faculty Of Agriculture Kyoto Prefectural University
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吉安 裕
Laboratory Of Applied Entomology Faculty Of Agriculture Kyoto Prefectural University
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