マクロ生態学 : 生態的特性に注目して(<特集>生物の空間分布・動態と生態的特性との関係:マクロ生態学からの視点)
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概要
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マクロ生態学は、大きな時空間スケールで生物の個体数・分布・多様性を扱う分野である。近年、人類が引き起こしている地球規模での環境変化が生物多様性に及ぼす影響が注目を集めるなか、マクロ生態学の重要性が認識されつつある。本稿では、まずマクロ生態学で扱われてきた課題とマクロ生態学の特徴を整理する。そして、マクロ生態学を発展させるための有望なアプローチの一つとして、生物の生態的特性の活用を挙げる。生態的特性とは、生物の形態的・生理的・表現的な特徴ことのを指し、生物の行動や環境への反応、資源(生息地)要求性、生態系内での機能、他の生物に及ぼす影響力なども含まれることもある。生態的特性を活用することにより、マクロスケールでの生物-環境の関係性の理解・予測が促進されるだろう。マクロ生態学の今後の課題として、局所生態学との統合や時間的視点の考慮などが挙げられるが、生態的特性の活用はこれら課題の解決に大きく貢献するだろう。人類が地球上で優占する現在、生物多様性を理解、予測、保全するうえで、マクロ生態学の更なる発展が望まれる。
- 2010-07-31
著者
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山浦 悠一
森林総合研究所森林昆虫研究領域
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天野 達也
農業環境技術研究所生物多様性研究領域
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山浦 悠一
森林総合研究所
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山浦 悠一
(独)東京大学大学院農学生命科学研究科
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山浦 悠一
岩手大学農学部
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山浦 悠一
東京大学農学生命科学研究科(現)
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山浦 悠一
森林総合研
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山浦 悠一
東京大学大学院農学生命科学研究科
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