慢性血液透析患者における心肺予備能の指標としての運動時酸素摂取量に対する心拍応答

概要

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本研究は、漸増負荷運動時の慢性血液透析(HD)患者の運動時心拍数増加曲線勾配(I-ECOH)を、HD患者の心肺予備能評価の指標として用いることの妥当性について明らかにすることが目的である。30例のHD患者に対し、トレッドミルを用いた心肺運動負荷試験を実施した。I-ECOHは次の式から算出しか。: HR=A・exp^<B・VO2>,ここで心拍数はHR、酸素摂取量はVO_2、I-ECOHは係数Bで表している。最大および最大下運動におけるVO_2とHRの間の指数関数曲線では、相関係数は0.95以上であった。I-ECOHと最大酸素摂取量(VO_2max)との間には、有意な負の相関関係が認められた(r=-0.89、p<0.001)。60〜90%HRmaxで算出したI-ECOHとVO_2maxとの間にも、有意な相関関係が認められた(p<0.001)。最大運動と最大下運動(60-90%HRmax)で求めたI-ECOHとの間に有意差はなかった。これらの結果は、最大下運動で算出されたI-ECOHは最大運動時のそれと差がないことを示している。以上のことからI-ECOHは、HD患者の客観的な心肺予備能の指標としての適用が可能であることが示唆された。
2010-06-30