出生早期の母子相互作用に影響を及ぼす要因について : 第1報:母親の抑うつの変化と子どもの易刺激性に関する検討

概要

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目的:出生早期の母子相互作用に影響を及ぼす母子双方の要因を検証するため,妊娠後期から産後3ヵ月までの母親の抑うつ状態と子どもの易刺激性との関連を明らかにすることを目的とする。方法:30例(初産婦8例,経産婦22例)を対象とし,妊娠後期,産後1週,産後1ヵ月,産後3ヵ月の計4回の縦断的調査を実施した。調査内容は,抑うつを測定する尺度としてSDSを用い,子どもの刺激に対する易刺激性の評定として新生児期の客観的指標(生理的指標,RIS)および子どもの気質尺度(輿石,2002)を使用した。結果:産後3ヵ月時にSDS40点以上であった11例を『3ヵ月うつ傾向群』,その他19例を『3ヵ月非うつ傾向群』とし,2群間で比較検討した結果,『3ヵ月うつ傾向群』はSDS得点が妊娠中から産後3ヵ月まで有意に高値であった。産後1週時では,子どもの気質を刺激に対して敏感であると認識している母親の抑うつが有意に高かった。考察:出産後間もない時期には母親の抑うつ傾向と子どもの易刺激性とが影響を及ぼしあう可能性があることが示された。