台湾産モンコバネ属(コバネガ科)の1新種
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概要
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モンコバネ属Paramartyriaは,台湾と日本の種をもとにIssiki(1931)によって創設され,その後,中国やベトナムから同属の新種が相次いで記載されてきた.最近,筆者は台湾から採集された標本を調べる機会を持ち,未記載種であることが判明したので,新種として記載した.Paramartyria anmashana sp.nov.(Figs 1,3-9)本種は,やはり台湾(阿里山)から記載されたP.maculatella Issiki,1931にごく近縁な種である.P.maculatellaとは,前翅の斑紋(P.maculatellaでは翅端に近い紋が五角形あるいは円形に近い,本種では台形状),雄交尾器のgonopodの上縁部の特徴(P.maculatellaでは波状,本種では直線状)とaedeagusのgonoporeを取り囲む鋸歯状の突起の数と大きさ(P.maculatellaではより少なく,やや小さい)などの形質によって,互いに区別される.本種では個体変異として(19個体のうち,4個体で),前翅のR_1脈が翅端近くで分岐する特徴が認められた.また,分岐は必ず左右両方の前翅で見られた.この形質は,南半球に分布するコバネガ科では原始的な特徴として普遍的に認められるが,北半球のコバネガ科では一部の種の個体変異として見られることが報告されている.今回,同時に調べたP.maculatellaでは,分岐は全く認められなかった.本種の成虫は,日中,針葉樹の林内でシダ植物などの葉表に静止しているのが観察された.食草は不明.
- 2000-09-30
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