タイ国産Trichopterygini族(鱗翅目,シャクガ科)の新種ならびに未記録種
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
大阪府立大学農学部の森内茂教授のご好意で,同大学農学部昆虫学研究室に保存されているタイ国産鱗翅類コレクションからシャクガ科ナミシャク亜科の標本を検する機会を得た.調査の結果,Trichopterygini族に属する3新種2末記録種を認めたので,報告する.Sauris fuscomarginata sp.nov.本種は,斑紋において同属の他種よりも近縁属のEpisteira nigrilinearia(Leech)ウスミドリナミシャクに似るが,雄後翅基部にあるfoldが小さいことや腹部基部の袋状構造物が退化していることで容易に区別される.Dugdale(1980)は,雌雄交尾器や雄の二次性徴器官に基づいてオーストラリアの本属を3つの種群に分類したが,本種は3つの種群のうちの一つlichenias groupに属する.Hypocometa clauda Warren本種はインド北部から台湾にかけて分布しているが,タイからは初記録である.Trichopterigia sanguinipunctata(Warren)本種とT.pulcherrima(Swinhoe)はそれぞれ独立の種として扱われてきたが,ロンドン自然史博物館のScoble博士によると両種は区別しがたいと言う事なので,本論文ではHampson(1895)に従い,pulcherrimaをsanguinipunctataのシノニムとした.タイ国からは初記録である.Trichopterigia atrofasciata sp.nov.本種の記載に用いた完模式標本の状態は良くないが,前翅に顕著な黒帯を有することや雄交尾器のバルバのコスタの基部背面から尾方に向かう硬化したプレートを有することで同属の他種から区別しうる.Trichopterigia viridilineata sp.nov.黄白色の地色に薄い緑黄色の多数の帯というシンプルな斑紋が,本種の特徴である.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1995-09-20
著者
関連論文
- Trichopterigia micradelpha Proutをもとに新属Archaeocasisの提出(鱗翅目:シャクガ科)
- 台湾産モンコバネ属(コバネガ科)の1新種
- Paramartyria expeditionis(コバネガ科)を基に新属Vietomartyria創設
- 幼虫期の温度条件がベニモンカラスシジミ長野静岡亜種の成虫に与える影響について
- 台湾からPalaeomicroides属(コバネガ亜目,コバネガ科)の1新種の記載と2既知種の再記載
- タイ国産Trichopterygini族(鱗翅目,シャクガ科)の新種ならびに未記録種