エチゼンクラゲの輸送に関わる生態特性(シンポジウム:海洋生物の漂流-沿岸からの輸送と生態-)
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概要
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日本の漁業に大きな被害を与えているエチゼンクラゲNemopilema nomuraiの発生海域の解明および輸送経路や出現時期の予測のためには,エチゼンクラゲの行動生態に関する知見が重要となる.遊泳速力は傘径に正比例して大きくなり,大型の個体は弱い流れであれば十分に逆らえる遊泳力を有する.ただし,水平方向の流向と遊泳方向とは一致しやすく,水平方向の行動よりもむしろ鉛直方向の行動の方が輸送条件に大きく影響する.日本海に出現するエチゼンクラゲは深度約20〜40mに分布することが多い.鉛直分布は海洋構造にほぼ依存し,冬が近づくとともに鉛直分布範囲も徐々に大きくなる傾向がある.一方で,エチゼンクラゲは能動的な鉛直移動も行う.遊泳深度は日中よりも夜間の方が深くなり,日中には午前より午後の方が浅く,夜間には午後よりも午前の方が深くなるという日周鉛直移動を行う.規則的な日周鉛直移動を行うだけではなく,海面付近から深度150m以深までを短時間に移動を繰り返すなど不規則な行動も行う.動物プランクトンが多く分布する層にとどまったり,波が高くなるにつれて深く潜行したりするように,環境の変化に対応して行動する場合もある.
- 2009-02-27
著者
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