理科教育カリキュラムにおける応用科学的教材選択の意図と教科書記述内容の関わり : 高等学校化学教科書における医薬品関連教材を事例にして

概要

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日本の理科教育カリキュラムにおける応用科学的教材の特徴を明らかにするため,先端科学の1つである「医薬品」に焦点を当てて,戦後発行された高等学校化学教科書および教師用指導書を分析した。その結果,以下の3点が明らかになった。(1)高等学校化学教科書に占める医薬品関連教材の記述の割合は,1951(昭和26)年版の学習指導要領(試案)に対応した化学教科書を1つのピークとして,以降漸減したものの.1999(平成10)年版の学習指導要領に対応した化学教科書から急増に転じた。この間,高等学校化学教科書に記述された医薬品関連教材の種類は多岐にわたるものであり,いくつかの教材には頻出する傾向があった。(2)化学教科書執筆者は,具体的な医薬品の説明を通して,薬理作用,化学工業発展の歴史,有機化学の進歩および日常生活の関連性を生徒に理解させるため,医薬品関連教材を選択してきた。(3)調査を行った教科書における「医薬品」の記述内容には,7つの類型がみられた(化学療法,化学構造および効能・用途等々)。
2009-03-13