精神障害者の婚姻状況・体験の分析と地域支援の考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は、精神障害を持ちつつ結婚生活を継続している者の婚姻状況の実態や当事者の体験を明らかにすること、及びその地域支援のあり方を検討することである。アンケートによる聞き取りおよび自記式調査により57名の男女(31.6%vs68.4%)の婚姻状況の実態を把握した。自記式調査の自由記載については質的帰納的に分析した。結婚の動機は「孤独の回避」「共に生きる存在」など5カテゴリーが抽出された。病状悪化時は「暴力やけんか」があっても配偶者、医療保健福祉サービスに支えられ、結婚後79%(約8割)の人が殆ど入院せずに社会生活を継続している実態が明らかになった。(結婚後入院全くなしは50.9%殆ど入院無しは28.1%)障害を抱えながらの結婚については「対人関係」「結婚観」「障害とともに生きる」の上位カテゴリーが抽出された。夫婦関係には肯定的な内容が多く、伴侶を自らの闘病を支える大切な担い手として位置づけていた。地域支援としては当事者たちの声を真摯に受け止め、生活支援事業を充実させていくこと、障害を持っても年老いても安心して生活を送ることが出来る地域社会を当事者と共に作っていくことが社会的支援につながると考える。
- 新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部の論文
- 2005-03-10
著者
-
伊勢田 堯
日本精神科病院協会
-
伊勢田 堯
東京都立多摩送総合精神保健福祉センター
-
藤野 ヤヨイ
新潟青陵大学看護学科
-
藤野 ヤヨイ
井之頭病院
-
松村 幸子
新潟青陵大学看護学科
-
福井 美貴
慶応義塾大学看護医療学部
-
岡 伊織
全家連保険福祉研究所
-
横沢 文夫
川崎市リハビリテーション医療センター
-
張替 有美
新潟福祉医療学園
関連論文
- 新潟県の精神科病棟における身体合併症治療状況に関する一考察
- 我が国における精神障害者処遇の歴史的変遷 : 法制度を中心に
- 精神疾患患者の口腔内の清潔・清潔行為(第一報) : 看護師の認識
- 精神障害者の婚姻状況・体験の分析と地域支援の考察
- 行政で働く保健師の新潟水俣病に対する活動の検証
- 精神看護学における臨床実習指導者の抱える困難 : 大学教育に焦点を当てて
- 看護職の医療事故への意識 : N県でのフォーカス・グループ・インタビューより
- 情報と資料 国際生活機能分類(ICF)と精神障害
- 裁判事例から学ぶ精神科看護の技術・倫理・専門性(29)情報公開と個人情報の保護--措置入院した患者からの情報公開請求(横浜地裁平成8.3.25判決)
- 児童への虐待とアルコール問題を持つ母に対する地域からの援助 : 精神保健福祉センターの中核的機能を再検証する
- 統合失調症の治療終結とソーシャルサポート (特別企画 治療を終えるとき) -- (2 治療の終結をめぐって)
- 精神科看護を巡って--精神科看護の魅力づくり (特集 精神科看護をめぐって)
- 訪問看護におけるインシデント・アクシデントおよび予防・対応策の実態 : 介護保険法施行後3年を経たN市訪問看護ステーションの調査から
- 裁判事例から学ぶ精神科看護の技術・倫理・専門性(28)保護者がいない場合の医療保護入院--市長の同意が問題になった例(東京地裁平成2.11.19判決)
- 個人情報保護法下だからこそ改めてインフォームドコンセントを (特集 患者中心に考える個人情報保護法への対応)
- 大会長講演 精神看護近未来--今 私たちにできること (第14回日本精神保健看護学会学術集会)
- 裁判事例から学ぶ精神科看護の技術・倫理・専門性(最終回)裁判事例を精神科看護に生かす意義--社会の期待に応える看護のために
- 裁判事例から学ぶ精神科看護の技術・倫理・専門性(27)安心して楽しく食べるための看護技術を--食事中の誤嚥で窒息死した事件から(名古屋地裁平成16.7.30判決)
- 裁判事例から学ぶ精神科看護の技術・倫理・専門性(25)精神障がい者の移送中の死亡事故--観察と緊急時対応に問題があった事例(東京地裁平成16.10.27判決)
- 裁判事例から学ぶ精神科看護の技術・倫理・専門性(24)水中毒の治療・看護を考えなおす材料に--再入院2日目に死亡した患者の治療責任
- 裁判事例から学ぶ精神科看護の技術・倫理・専門性(19)保護室での自殺と病院の過失責任(最高裁平成15.3.25判決)
- 裁判事例から学ぶ精神科看護の技術・倫理・専門性(23)精神科看護は監視ではなく観察--患者が窓ガラスを壊して飛び降り自殺した例(広島地裁平成16.3.31判決)
- 裁判事例から学ぶ精神科看護の技術・倫理・専門性(22)外来通院中の神経性食思不振症患者の定期的な検査義務(東京高裁平成15.8.26判決)
- 裁判事例から学ぶ精神科看護の技術・倫理・専門性(22)精神科外来での事故と医療系職員の安全対策--主治医刺殺事件で指摘された課題から
- 裁判事例から学ぶ精神科看護の技術・倫理・専門性(21)風化させるな「宇都宮病院リンチ殺人事件」--患者の人権保障の原点(宇都宮地裁昭和61.3.30判決)
- 裁判事例から学ぶ精神科看護の技術・倫理・専門性(20)患者抑制と職員への危害防止技術--咬傷からC型肝炎を発病した看護助手の事例(大阪地方裁判所平成16.4.12判決)
- 裁判事例から学ぶ精神科看護の技術・倫理・専門性(18)転倒骨折事故と施設職員の安全配慮責任(福島地裁白川支部平成15.6.3判決)
- 裁判事例から学ぶ精神科看護の技術・倫理・専門性(17)転落防止と安全配慮義務(旭川地裁平成13.10.30判決)
- 裁判事例から学ぶ精神料看護の技術・倫理・専門性(16)診察なき治療・非告知投薬と患者の知る権利(千葉地裁平成12.6.30判決)
- 病棟新築は人の心を明るくした (特集 病棟アメニティの改善をめざして)
- 精神科看護 職務に応じた活用方法の提案/財団法人井之頭病院 (一挙掲載!日本看護協会5つの看護業務基準--「看護業務」「訪問看護」「精神科看護」「小児看護」「周産期看護」各基準の活用に向けて) -- (活用事例:看護業務基準をどう使うか)
- 特別レポート テロリズム被害と精神医療--癒しの島・バリ島からの報告
- 精神科薬物療法における副作用情報の説明責任と看護師の立場
- 日本の精神病理学・回顧と展望(8) : 臺弘先生をお訪ねして
- 心的外傷後ストレス障害の回復過程の看護援助 : 犯罪被害者の思いの分析