ニーチェのヘラクレイトス解釈における「人格」の問題について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
『悲劇の誕生』の刊行直後に書かれている『ギリシアの悲劇時代における哲学』には、後にニーチェ独自の思想の中心ともなった「生成」を説くヘラクレイトスが解釈されている。ニーチェは解釈に際して「人格」の理解を求めており、一方、哲学体系自体は中心的なテーマになっていない。ハイデッガーによるこの解釈に対する批判は元初の思索に誤解を与えた点にある。だが、それにもかかわらず、ニーチェの古代ギリシアへの思索に意義があるのは、異文化のもっとも深い認識に達した人間の理解への試みを通じて、彼自身が、自分自身の内に全体的なものへと関わる仕方(人格のあり方)を見出そうとした点にある。ニーチェにとっての人格とは、理性と生の全体との関係のあり方のことを意味しているのである。
- 2009-03-31
著者
関連論文
- ニーチェのニヒリズム思想へのエピクロスの影響-死への思索の必然性について
- 人間存在の可能性と教育の目的の再生
- ニーチェのヘラクレイトス解釈における「人格」の問題について
- 環境倫理学の歴史的意味 : 学問の限界と可能性について
- 死の存在論的究明の条件
- 鈴木正三における死の思惟の誠実性
- ニーチェにおける人格概念
- ニーチェにおける「超人」への階梯について : の構造からの検証
- 和辻哲郎『人間の学としての倫理学』における倫理的存在論の着想 : 東洋倫理思想による存在論転換の試みの今日的可能性について