西オーストラリア州におけるメディア・リテラシー教育の現状と課題
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概要
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本研究では西オーストラリア州のメディア・リテラシー教育の現状と課題を探る.カリキュラム,教科構造,指導計画,学習者の意識調査の結果を分析した結果,次の三つの示唆が得られた.(1)学習者は必修教科の英語科でメディア言語を学び,芸術科の選択科目「メディア制作と分析」で社会学の領域を含めたメディア・スタディーズを学習する.系統性を持つ教科横断的カリキュラムはメディア・リテラシー育成の効果が期待される.(2)学習者は,「制作」課題を通して「メディア言語」「オーディエンス」「制作の背景」を学び,その学習内容を「調査」「レスポンス」の課題で応用する.制作と分析の学びの往還が学習者の意欲を高め,メディア・リテラシー向上に役立っていた.(3)「書くこと」は分析理論の理解に有効な方略であると考えられる.学習者は「書くこと」の活動を通して習得した分析理論が,日常生活の情報を分析する上で役立つと感じていた.ただし,学習内容の難しさと,課題の量に負担を感じる学習者もいた.今後のカリキュラムや課題の検討の余地が指摘できよう.
- 日本教育工学会の論文
- 2009-10-10
著者
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