14. 生菌の増殖力と凍結乾燥における抵抗力との関連について
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概要
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異種の細菌においては、環境の物理的ないし化学的影響に対して抵抗力の異なることは論をまたない。同種のものにあつては、その差異がほとんど見出されないのが普通のことであつて、菌体側の生存率を規制する条件は、寧ろgrowth phase上の差異あるいは菌液濃度が主なるものである。しかし、同種のものであつても、栄養要求あるいは分裂速度の異なるものにおいては、その抵抗力には、はたして差異のないものであろうか。この点については疑問を持たれていた。El Tor cholera vibrioは1961年以来東南アジアの各地で流行しているコレラの病原菌である。エルトールコレラは病状において従来のコレラと全く同一のものであり、その病原菌も、コレラ菌の最も重要な決めてである血清学的性状において、従来のコレラ菌と全く同一のものである。しかし、溶血性その他生物学的性状あるいはフアージに対する感受性その他において多少異なるところがあるので、従来の真性コレラ菌(classical cholera vibrio)に対して、エルトールコレラ菌(El Tor cholera vibrio)と便宜上称ばれている。El Tor cholera vibrioはclassical cholera vibrioに比べて大体において増殖力が旺盛であるということは通念になつている。そこで観念的意見として、化学的あるいは物理的刺戟に対する抵抗力も、classical cholera vibrioよりも強いのではないかという疑問ももたれ、食品衛生行政上の問題にまで影響を及ぼした。われわれは、El Tor cholera vibrioのviabilityに関する試験研究を依託され、その研究の一部として、凍結乾燥における抵抗力について比較検討する機会を得た。
- 低温生物工学会の論文
- 1965-04-05
著者
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