ヒノキの高価値化に関する考察(自由論題論文,1994年秋季大会)
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概要
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外材の大量輸入が定着した昭和41(1966)年以降,ヒノキが独歩高になるという現象が生じたが,その要因は以下の如く考察される。まず外材の流入後,(1)木材需要の主力を占める住宅用建築材の需要分野において国産材嗜好(信仰)が起こり,国産材役物に対する需要が増大した。さらに(2)住宅の洋風化(大壁造りの部屋の登場)が見え掛かり材の役物化を促したこと,そしてフリッチ需要が新たに発生するなど役物それ自体の需要も増大した。(1)(2)から,国産材にはとりわけ役物が欲求され,そのような国産材を取り巻く条件変化のなかで,最も役物としての適格性を備えていたのがヒノキであった。すなわち国産材で供給される部分はせいぜい40〜50年生の,「若齢木」が圧倒的に多く,そのような若齢木で投物を採ろうとした場合,スギより成長のおそいヒノキのほうが役物が採り易いからである。かくして「若齢木から役物を採る」という条件に規定されて,ヒノキの高価値化が生じたと考えられるのである。
- 林業経済学会の論文
著者
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