集成材加工業の現状と課題 : 奈良県業界を中心として
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概要
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奈良県の化粧ばり柱メーカーは,需要環境の変化を背景に1980年代初頭及び1990年代後半以降の2度にわたる淘汰の波を受け,完全にマイナーな存在と化した。造作材メーカーが柱メーカーほどのダメージを受けなかったのは,柱は在来工法住宅でなければ使用されないのに対し,造作材はどの工法の住宅であれ和室がある限りそこに使用され,工法の多様化による影響をあまり受けないことが大きな要因になっているとみられる。奈良県には住宅メーカーへの部材供給を専門に行う集成材メーカー群が成立しており,これが奈良県の造作材メーカーの大きな特徴を成している。造作材の需要にも頭打ちの傾向がはっきりと現れてきており,新しい内装材の開発がもとめられる。大断面集成材は現段階ではいまだマーケットをいかにして成長させるかが課題であり,そのため林材業界はより多くの建築設計士にもっと木構造の知識を与える努力をすることが不可欠である。建築コストの概念は建設費用,維持管理費用に加え,解体費用,処理費用を含めた建物のライフサイクルのトータルコストでとらえられる方向にあり,化学合成接着剤を使用している集成材業界はこれへの対応を十全に行う必要がある。
- 1999-10-01
著者
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