住宅用建築材需要の歴史的転換に関する分析 : 「木材革命」の進行について(1996年秋季大会自由論題論文)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
わが国の住宅市場は住宅メーカーが主導権をもっているが,この傾向は今後さらに進むものとみられる。そこで住宅メーカーの木質部材需要の実態を把握し,今後の住宅用建築材の需要について分析を行った結果「木材革命」ともいうべき需要の質的転換が起きつつあることが明らかになった。(1)集成材が役物需要の圧倒的シェアを握るようになり,役物製材品の需要は和室数の減少に加え,集成材からのシェア蚕食によって後退を余儀なくされ,役物製材メーカーの存立はきびしい岐路に立たされている。(2)集成材は構造材の分野にも急速に浸透しつつあり,それとともにこれまであくまで製材品の代用品にすぎなかった集成材が,いまや(1)その位置関係を逆転させ,ムク材より高く評価されるようになった。また,集成材管柱の急激な浸透とともに,(2)柱価格が集成材管柱価格によって決定されるというこれまでにない現象が起こり,集成材がプライス・リーダーとしての役割を果たしはじめた。(1)(2)は,住宅用建築材の主流は今後集成材へと移っていくことを示唆するものといえる。(3)住宅は圧倒的に洋風化しており,洋室内装材の開発が林材業界の大きな課題である。
- 1997-03-01
著者
関連論文
- 住宅用建築材需要の歴史的転換に関する分析 : 「木材革命」の進行について(1996年秋季大会自由論題論文)
- 集成材加工業の現状と課題 : 奈良県業界を中心として
- 中山間地域における産業構造の再編過程 : 京都府弥栄町の実態報告
- 新しい木材需要と製材業の今後の展開
- ヒノキの高価値化に関する考察(自由論題論文,1994年秋季大会)
- 論文16 日本林材業の内なる問題(II) : 秋田産地を典型例として(1993年秋季大会 自由論題論文)
- 日本林材業の内なる問題(III 1992年秋季大会)
- 美作産地の形成とわが国製材産業の問題 (1987年度(第25回)西日本林業経済研究会報告)
- 焼畑と農林業
- 第二コメント(第二報告 九州産スギ材の販売戦略,1993年度西日本林業経済研究会報告)
- 報告1 美作産地の形成とわが国製材産業の問題(1987年度(第25回)西日本林業経済研究会報告)