ベーマイトを用いた醤油中のリン酸イオンの除去

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醤油中に含まれるリン酸イオンの除去を不溶性無機鉱物性物質であるベーマイトを用いて検討した。ベーマイトは水酸化アルミニウムゲルを脱水反応により製した化学的合成品を用いた。市販のこいくちおよびうすくち醤油にベーマイトを添加し、ろ別後のリン酸イオン濃度を測定した。こいくちおよびうすくち醤油ともに、ベーマイトの添加濃度に比例して、醤油中のリン酸イオンは除去され、5%のベーマイト添加時、3時間の処理により、こいくち醤油中のリン酸イオンは初期値の約26%(Fig. 1)、うすくち醤油において、同15%に減少した(Fig. 2)。また、添加後よりろ別までの反応時間にも比例して、リン酸イオンは除去され、2%の添加時、6時間の処理で、醤油中のリン酸イオンは、こいくち及びうすくち共に、約50%に減少した(Fig. 3, 4)。次に、本処理による醤油中のリン酸イオン以外の物質の挙動を調査した。こいくちおよびうすくち醤油ともに、処理前後の総窒素、食塩の変動は認められなかった。しかし、アルミニウムイオン及び硫酸イオンがこいくちおよびうすくち醤油ともにわずかながら増加傾向にあった。アルミニウムイオンの増加は、不溶性のベーマイトが、弱酸性の醤油に若干溶解したためであると考えられ、また、硫酸イオンの増加は、ベーマイトによる醤油中のリン酸イオンの除去機構が物理的吸着のみでなく、イオン交換による除去の存在を示唆するものである。以上の結果より、ベーマイトは醤油中のリン酸イオンのみを効率的に除去しうる物質であり、液状の低リン食品の開発を容易にする可能性を示唆するものである。
日本食品化学学会の論文
1998-06-30

ベーマイトを用いた醤油中のリン酸イオンの除去

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