2003年7月18日に広島県で発生した線状降水帯 : 気象庁非静力学モデルで解析した気流構造と地形や中層乾燥気塊の効果
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概要
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2003年7月18日20時頃に広島県を通過した線状降水帯について,気象庁非静力学モデル(以下,JMANHMと呼ぶ)を用いて再現実験を行い,降水帯の気流構造や地形等の影響を調べた.線状降水帯は黄海付近の低気圧から南東にのびる温暖前線通過時に形成され,南西から北東にのびる形状を持っていた.降水帯の線状の形状は,豊後水道を通る南からの暖湿な下層気流が温暖前線北側の南東風と収束し,そこで発生した対流セルが中層の南西風によって北東に移動することにより形成されていた.また,既存の降水帯からの冷気外出流が下層の収束を強め,降水帯の南側に新たな対流セルを発生させていた.気流と共に移動するトレーサーを用いた気流解析では,豊後水道を通過した南からの気流が,最盛期の降水帯の先端や側面から侵入して上昇していることから,降水帯が"バックアンドサイドビルディング型"の特徴を持っていたことがわかった.また,感度実験から,本事例の降水帯では,豊後水道や広島県周辺の地形が降水帯の発達に寄与していたこと,中層の乾燥した気流が,発達中の降水帯の周囲を冷却することで,降水帯内の上昇流の浮力を増やし,対流を強める効果を持っていたこともわかった.
- 2009-08-31
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