大西洋底の古期岩石と大陸性岩石
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
海洋底拡大説によると,海洋地殻は2億年以前の岩石や大陸性の岩石を含まない.ところが大西洋底では,18.5億年に遡る岩石や,花崗岩類・片麻岩・結晶片岩・グラニュライト・粗粒陸源砕屑物・大陸性かんらん岩などの大陸を構成する物質が,42ヶ所で発見されている.本稿では,それらを記載し,4タイプに分類して,古期・大陸性岩石の意義を考察した.タイプA(大陸/海洋境界帯において海洋底以深の深度に存在する大陸性地殻-マントルブロック)は,大陸が深く沈降したり,深海盆〜深海平原に転化したことを示す.中央海嶺〜両翼の海盆に分布するタイプB(数100km〜鉱物粒子サイズの大陸性物質)とタイプC(大陸的地球化学特性をもつ地殻-上部マントル物質とそれらに由来する火山岩)は,海洋底に大陸性岩石が散在・伏在していることを示す.タイプD(海洋プレート年代よりも有意に古い含化石堆積物や苦鉄質岩石)は,これらの化石・放射年代とプレート年代との不一致を意味する.『海洋底拡大説』にはタイプB〜Dの古期・大陸性岩石の存在を統一的に説明することが求められ,『大洋化説』や『海洋底隆起説』には増加した物的証拠にもとづいて,支配的メカニズムを具体的に提案することが求められる.今後,文献収集が進捗し,海洋地質調査が進展すると,大西洋底からはより多くの古期・大陸性岩石がみいだされ,やがて海洋起源論争が再燃するであろう.
- 2009-05-25
著者
-
Vasiliev Boris
ロシア科学アカデミー太平洋海洋学研究所
-
矢野 孝雄
鳥取大学地域学部地域環境学科
-
Vasiliev Boris
ロシア科学アカデミー 太平洋海洋学研
-
GAVRILOV Alexander
ロシア科学アカデミー太平洋海洋学研究所
-
宮城 晴耕
東京都立北園高等学校
-
矢野 孝雄
山陰支部 鳥取大学地域学部地域環境学科
関連論文
- 太平洋の形成モデル(東アジア大陸縁〜太平洋の地質形成過程と深部要因)
- 大西洋底の古期岩石と大陸性岩石
- 東北日本における島弧-海溝系の形成メカニズム : 島弧変動の運動像と力学像(島弧の深部構造-地質・地震・地震波トモグラフィによる解析(I))
- 太平洋の地質構造および起源(東アジア大陸縁〜太平洋の地質形成過程と深部要因)
- P-16 岡山県西部高山市周辺の備北層群
- 岩石海岸における堆積作用と海水準変動 : 岡山県南西部、中新統浪形層の堆積環境
- 41. 瀬戸内中新統浪形層の堆積環境と相対的海水準変動
- コンデンス・セクションとして形成された非熱帯性石灰岩 : 岡山県南西部,中新統浪形層石灰岩の堆積環境
- 不整合面に残された海食地形の形成過程 : 岡山県南西部,中新統浪形層の基底不整合
- 吉備高原と"山砂利問題"(フォト)
- 不整合面に残された古地形 : 岡山県南西部に分布する中新統浪形層の層序
- 地震の癖 いつ,どこで起こって,どこを通るのか, 角田史雄著, 2009年8月, 講談社+α(プラスアルファ)新書, 新書版, 190p, 定価876円(税別), ISBN978-4-06-272599-6
- 藤田至則 編著, 地質と地震, 地団研専報 44号, 地学団体研究会, 1995年7月, 86頁, 頒価1,000円, 送料240円
- 後期新生代堆積盆地の構造的分類(後期新生代堆積盆地の形態と形成機構-傾動盆地を中心にして-)
- 松本盆地の第四紀地質の概観 : 松本盆地の形成過程に関する研究(1)
- 鳥取市国府町宮下における普含寺泥岩層の層序と魚類化石
- 中国雲南省麗江盆地の地形-地質構造と盆地形成メカニズム
- 中国雲南省麗江盆地の形成メカニズムと応力場の特性 (ユーラシア大陸の形成と構造)
- 北部フォッサ・マグナ中央部の新第三系の堆積盆
- 北部フォッサマグナ地域の第三系層序と地質構造 : 第三紀
- アンデスのグリーンタフ(フォト)
- アンデスのグリーンタフ
- 東アジア大陸の大地形と火山分布(フォト)
- 日本海海底の地質とドッレジされた岩石 : その1,その2(地球科学の窓)
- 幻の楼蘭ロプ・ノールの謎, 松本征夫著, 2006年9月, 櫂歌(とうか)書房, A5版, 464p. [含:カラーグラビア24p.], 定価4,410円(税込)
- 地学双書33 構造地質学の基礎, 小室裕明 著, 地学団体研究会, 2002年12月刊, A5判, 215p, 会員頒布1,800円
- ダーウィン海膨 : 研究の現状
- 入舩徹男・小室裕明・鈴木尉元・多田 堯・西村敬一著, 地学団体研究会編, 新版地学教育講座5, 「地球内部の構造と運動」, 東海大学出版会, 1995年5月, 186頁, 2575円
- エ.エ.ミラノフスキー著, 押手 敬訳, ユーラシア北部の変動帯の地質と構造発達史(北陸地質研究所報告 No.4), 北陸地質研究所, 1995年4月, 245頁
- 宇宙からみた傾動盆地(フォト,後期新生代堆積盆地の形態と形成機構-傾動盆地を中心にして-)
- 長野県西北部鬼無里村・小川村地方の地質 : 第三紀
- インド洋底の大陸性岩石 : 海洋底に分布する大陸性岩石の意義
- 飯川健勝著, 本州中央部の測地学的変動の研究「地団研専報/39」, B5判, 74ページ+資料17ページ, 地学団体研究会, 1991年, 領価1,000円
- 藤田至則著, 日本列島の成立〔新版〕-環太平洋変動-, A5判, 259ページ, 築地書館, 1990年, 定価3,492円
- 神居古潭帯に産するオフィオライト質岩類のSr同位体的性質について(日本列島のオフィオライト-地団研第31回総会テーマ別討論会-)
- 鳥取層群産魚類化石のタフォノミー : その1:層序と地質構造
- 鳥取市国府町宮下産の中新世浅海性魚類化石(フォト)
- O-65 人工地層の造られ方と液状化-流動化被害との関係(7. 2000年鳥取県西部地震・2001年芸予地震での地質災害と地質環境-液状化-流動化被害を中心として-,口頭発表,一般発表)
- O-60 鳥取県西部地震時の墓石の挙動(7. 2000年鳥取県西部地震・2001年芸予地震での地質災害と地質環境-液状化-流動化被害を中心として-,口頭発表,一般発表)
- 鳥取市国府町宮下における魚類化石層の堆積環境
- インド洋底の大陸性岩石
- 鳥取層群産魚類化石のタフォノミー : その2:堆積相と魚類化石層の形成プロセス
- 鳥取層群産魚類化石のタフォノミー : その2 : 堆積相と魚類化石層の形成プロセス