太平洋の地質構造および起源(<特集>東アジア大陸縁〜太平洋の地質形成過程と深部要因)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
35年間におよぶ海洋地質研究にもとづいて,太平洋の基本構造を解明し,もっとも信憑性のある太平洋の起源論を提案する.太平洋巨大海盆の基本構造は,3つの地質-構造ステージからなる.第1ステージは,始生代にさかのぼる超塩基性岩類(塑性流動を履歴)と変成岩類に代表され,それぞれ,海洋島火山岩中の包有物として産出し,海溝・断裂帯・海台などに露出する.第2ステージは,三畳紀〜ジュラ紀を中心とする海洋性トラップ層(層状塩基性貫入岩類と玄武岩類のコンプレックス)であり,海盆下のほぼ全域に伏在する.第3ステージは,海盆底や海山・海台を構成するジュラ紀後期〜現世の火山岩類と堆積層であり,ブロック運動による深海化を記録する.太平洋巨大海盆は,地球最大のユニークな地形-地質構造であり,おもに苦鉄質な地殻をもつ.(1)その原型は,地球-月システムをうみだした約45億年前の天体事件によって形成され,その後,(2)周縁の大陸から数10億年間にわたって供給された厖大な量の陸源物質が,海盆底の火山噴出物や伏在する超塩基性岩類とともに変成-溶融し,少量の酸性岩類を形成した.さらに,中-新生代における全地球的海洋形成作用にともなって,(3)三畳紀〜ジュラ紀を中心に海盆のほぼ全域にトラップ層が形成され,(4)ジュラ紀後期にはじまるブロック沈降による深海化と火山活動-堆積作用が現海盆の複雑な地形-地質構造を形成した.
- 2006-05-25
著者
-
Vasiliev Boris
ロシア科学アカデミー太平洋海洋学研究所
-
Vasiliev Boris
ロシア科学アカデミー 太平洋海洋学研
-
YUGOV Ivan
ラックスマン・エンタープライズ・ジャパン