職場内訓練費用は賃金・雇用・時間調整の相違を生み出すか? : 人的資本理論への批判
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概要
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実質賃金・雇用・(1人当たり)労働時間調整は,先進国の間で大きく異なっている。その典型的例として日米の相違をとりあげれば,総需要の循環的変動に対して,日本ではアメリカより実質賃金と(1人当たり)労働時間調整がともにより大きく,雇用調整はずっとより小さい。さらに,日本では(1人当たり)時間が最初に調整され,それでも足りなければ雇用が調整される。このような相違がなぜ生じるのかという疑問は,依然として労働経済学だけでなくマクロ経済学における重要な問題のひとつである。それは実質賃金の伸縮性のマクロ経済的影響とも密接に関連している。上記の相違を説明する現行の理論には,人的資本理論や伸縮賃金理論がある。本稿の目的は,中でも最も有力な人的資本理論に対する批判と疑問を提起することにある。伸縮賃金理論に対しては,我々はその不完全性を補完する方向で最近独自に「新しい伸縮賃金理論」を提示した。それについてはKawai(1998)を参照されたい。
- 流通経済大学の論文
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