雇用・労働時間と資本利用度 : 需要不確実性下の独占企業の場合
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概要
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我々は,河合(1989)において,短期における要素投入が本来もつ性格,即ち「準固定的労働と可変的資本投入」を明示的に考察した。より具体的に言えば,雇用者数の準固定性と資本利用度の可変性を分析に導入し,それにもとづいて短期における価格不確実性下の競争的企業の雇用・労働時間と資本利用度について分析した。本論の目的は要素投入に関する上記の概念を今度は需要不確実性下の独占企業に適用し,その場合の上記の決定変数について分析することにある。但し,ここでの独占企業は,次節でみるように,需給が一致するように価格が事後的に決定される場合のそれであり,現実には公益企業に対応している。そして,このタイプの独占企業は,前回の価格不確実性下の競争的企業をその特殊ケースとして含むより一般的ケースに相当する。我々は,前回の競争的企業の分析から得た主要な結論の1つを,より一般的なここでの独占企業においても条件付で導出することができる。即ち,限界収入の逓減率が小さく,かつ資本と労働の各用役の補完性が高いとき,需要不確実性の下でのより慎重な独占企業は,より小さな雇用とより長い労働時間とそしてより低い資本利用度をもつ。
- 流通経済大学の論文
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