複数の借手と最適貸付契約 : タイプ間の相関を巡って
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概要
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本稿では,伊藤(2003)第3章の分析に依拠しながら,私的情報を保有する複数の企業に対する最適貸付契約設計について検討した.重要な論点は,借手である企業が複数存在する場合,各企業を他の企業から独立に扱い,銀行がまるで1社としか取引をしないかのように分析することは果して妥当であるのかどうか,という問題である.本稿では,宇惠(2006)の貸付契約のモデルを2社の企業のケースへと拡張した.すなわち,各企業のタイプが2種類の価を取り得るモデルを構成して,タイプ間に相関がある場合の最適契約を導出し,その性質を調べた.その結果,銀行が取引する2社の企業のタイプ間に相関がある場合には,非効率的なタイプの企業のセカンドベストの借入額は他の企業のタイプに依存するため,企業を独立に扱うことは望ましくないことが明らかとなった.
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