室内サッカーにおけるプレーヤーの心理・生理学的負荷について
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概要
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サッカーにおける心理・生理学的負荷に関する研究は,現在までのところ屋外でのサッカーが分析されただけである。屋外サッカーにおけるサッカー・プレーヤーの心理・生理学的な研究に関する文献には,Winkler(1985), HollmannとHettinger(1980)およびVan Goolらの研究がある。室内サッカーに関するこの種の研究は今までのところなされていない。本研究は,室内サッカーにおけるプレーヤーの生理・心理学的な負荷に重点をおいて行われたものである。心理・生理学的負荷を把握するために心拍数の変動が用いられ,これと同時にプレーヤーの行動をビデオテープで撮影し,両者を統合することにより解析を行った。2人のプレーヤーはドイツ地域リーグ・クラスでプレーするゴールキーパーとフォワードであり,トーナメント形式の大会における数試合が分析された。これら2人のプレーヤーの分析から次のような知見を得ることができた。ゴールキーパーの心拍数は2つの試合と休息を含む約90分間にわたって測定・分析された。2回にわたる試合中の平均心拍数は約137拍/分,ゲーム間の休息中は約100拍/分の心拍数であった。数回にわたる守備動作を行った状況における心拍数は,はっきりとした動作が現れない状況よりもかなり高く,170拍/分にまで上るものであった。その時のゴールキーパーのプレーは大体において成功したものであった。また,ゴールキーパーの移動速度は,それぞれの守備動作においても大体において低い範囲にあった。フォワードのプレーヤーは,リザーブ・プレーヤーとして一時ベンチで休んだ試合も含めて3回のプレーを行い,その時の平均心拍教は148拍/分でありゲーム間の休息時は106拍/分であった。実際のプレー中の心拍数は160拍/分から185拍/分の間を変化するものであった。高いスピードでの走行をともない,多くの技術的・戦術的な動作をともなう特別な状況におけるフォワードのプレーヤーの心拍数は多くの場合185拍/分の高さになるものであった。フォワードの移動速度は,ゲームの状況における要求に応じた変化を示した。以上の結果から,室内サッカー中のフォワードのプレーヤーの負荷は平均して大変高く,ゴールキーパーは或る特徴的なプレーの場面において高いことが認められた。さらに,特別な状況における動作を行った際には,明らかにわずかな心拍数の回復しかもたらさないことが認められ,これらのことから室内サッカーにおいてプレーヤーは,かなり高い心理・生理学的負荷を得るものと考えられる。
- 慶應義塾大学の論文
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