島根県の「津和野幼花園」の創設についての一考察
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概要
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島根県津和野町における保育所「津和野幼花園」はカトリック修道会「聖心の布教姉妹会」によって経営されているが、その歴史は古く昭和4年の創立である。同修道会は大正9年、秋田市において創立されたが、遠隔の地である津和野町に招聘され、幼児保育に当たることになった由来、創立に関係した人々、当時の保育に関する状況などについて考察する。教育を誇る津和野町の歴史の中で当時の望月幸雄町長は、大正15年、県立津和野中学校を開校させたが、その直後より、幼稚園設置計画のため調査委員会を設置し、島根県内の幼稚園にアンケートをし、実際的な設置計画を立てた。その時の調査資料には、未知の幼児教育に対する疑問とそれに対する懇切丁寧な回答を見ることができる。しかし、その計画は実施されず、それに代えて、昭和4年9月に上記「津和野幼花園」が開設されることになった。それはこの地にカトリック教会があったことと関係があり、その源流には長崎、浦上から津和野藩へ流され迫害されたり、殉教して行ったキリシタンたちがいた。しかし、このようにして開設された幼花園は設立の翌年火災により全焼し、その翌年に隣接のカトリック教会と共に新しく再建されなければならなかった。更に戦中、戦後の困難な時期にも望月町長、教会関係者、町民の支えを受け、児童福祉法のもとにおける保育所として発展してきたのである。
著者
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