学際分野研究としての文化情報学研究 : 考古学における遺跡情報モデリングとその実装
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概要
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研究論文我々が「文化現象」と呼ぶ現象は実世界には実体として存在せず、現実世界における事象に対する研究者の「解釈」の結果である。同じ事象を取り上げていても、例えば、「考古学的視点」と「美術史学的視点」では同じ事象を対象としていても結果として現れる「文化現象」は異なる。しかしながら、これらは否定するべき問題ではなく、むしろ異なる視点によって姿を変える人類社会の多様性であり、それぞれの学問分野の視点として受け止める必要がある。「文化現象」と呼ばれるものに対して「文化情報学」の視点からアプローチするのであれば、主題として取り上げる分野を「応用分野(Application Disciplines)」とし、情報学をはじめとする様々な「参考分野(Referenced Disciplines)」の技術や理論を用いて、「応用分野」における文化意義の追及に貢献するべきである。そして、文化情報学研究として焦点を当てるべき問題は、文化現象の研究において必ず辿る「データ収集→情報構築→分析・シミュレーション→表示→解釈」の一連の情報処理プロセスから見出すことである。本研究では、考古学を応用分野とし、参考分野の技術として地理学におけるGISと情報学におけるOOM(Object Oriented Modeling)を用いた。本研究では、考古学研究における現状を整理した上で、考古学情報の構築の視点から考古学研究を支援するための方法提示し、本研究を文化情報学研究としたい。The academic discipline of "Culture and Information Science" aims supporting cultural studies such as region of humanities with Information processing. The term of "cultural phenomena" in this discipline is defined by each "Application Disciplines" which is directly connected to cultural studies. Under this term, optimized techniques, theories or methods from "Referenced Disciplines" such as Information Science are adapted to "Application Disciplines". This study is the case study for Culture and Information Science. "Application Discipline" is "Archaeology" and suitable technique and methods from "Referenced Disciplines" are "GIS (Geospatial Information System)" and "OOM (Object Oriented Modeling). Although GIS is attracted Archaeologists' attention as tools for Spatial Analyzing, GIS in Archaeology have not been performed to the best of its potential because of insufficiency of digitalized information for Archaeology. This problem prevents not only development of Spatial Analyzing on GIS, but other statistical studies. This study intends to solve this problem with OOM. This study provides methods for implementation of OOM to GIS.
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