感染予防からみた緑茶の特性に関する研究
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概要
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緑茶(煎茶)の抗菌性とインフルエンザウイルス赤血球凝集(HA)活性阻害の特性を検証した.酒石酸鉄比色法による検討から,低温域(50℃と65℃)より高温域(80℃と91℃)でより多くカテキン(CAT)は抽出され,就中80℃が最大CAT量を示した.5g茶葉/80ml水,80℃,1分(標準緑茶液:SGTE)で6回抽出したところ,2回目で最高CAT量(2.7mg/ml)を示し,3回目までにほぼその2/3が抽出された.黄色ブドウ球菌,大腸菌と緑膿菌に対するSGTEの最大発育阻止と最大殺菌希釈度の差は,どの菌に対しても2倍以下であり,緑茶は,広範囲性かつ殺菌的作用を示すことが確認された.但し,ヨード液の1分に比べ,殺菌時間は4〜5時間と極めて長いことが注目された.種々CAT量を有するSGTEを,種々時間37℃でインフルエンザウイルスと接触させたところ,CAT量1.2mg/ml〜2.7mg/mlの範囲で,30分接触で完全にHA活性を阻害した.さらに,塩化第二鉄処理によるCAT除去SGTEには,抗菌作用も抗HA作用もないことから,種々ある緑茶成分のうち,CATが主な有効成分であることが示された.これらから,緑茶を感染予防として活用する際には,遅効性であること,また十分量なCAT含有(少なくとも1mg/ml)ことの認識は重要であると思われた.
著者
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小尾 信子
富山大学医学部医学科和漢診療学
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宮原 龍郎
富山大学医学部看護学科感染看護学
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落合 宏
富山大学医学部看護学科感染看護学
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吉井 美穂
富山大学医学薬学研究部
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松原 久代
富山大学医学部看護学科人間科学I
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落合 宏
富山大学 医学部看護学科基礎看護講座
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落合 宏
富山大学医学部看護学科人間科学
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