ホタテ貝殻焼成粉末の殺菌および殺インフルエンザウイルス作用について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ホタテ貝殻焼成粉末(HSSP)の殺菌および殺インフルエンザウイルス作用を検討した.微細HSSP(平均粒径3.5μm:f-HSSP)の0.15%生理食塩水懸濁液に5分接触させた場合,大腸菌の生残菌数は検出限界以下であったが,緑膿菌と黄色ブドウ球菌の生残率は,それぞれ3×10^<-3>%と2.5%であり,大腸菌に最も強く殺菌作用を示した.f-HSSP,粗製HSSP(平均粒径18.4μm:c-HSSP),酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムの0.15%生理食塩水懸濁液はほぼ同じpH(12.6〜12.76)を示した.しかし,これら4試薬の大腸菌に対する経時的殺菌力を比較したところ,5分接触では全ての試薬においても生残率は検出限界以下であったものの,2分より短い接触時開城でf-HSSPが他3試薬より10〜1000倍強い殺菌作用を示した.さらに,f-HSSP生理食塩水懸濁液は,濃度と接触時間依存的にインフルエンザウイルスA型PR8株とB型Sing株の感染性を失活させた.しかし,f-HSSP(37℃,30分接触)は少なくともA型PR8株の赤血球凝集活性には影響を与えなかった.0.75%生理食塩水懸濁液の殺インフルエンザウイルス作用を4試薬間で比較したところ,f-HSSPは短時間接触域で,c-HSSPよりおよそ1000倍強かったが,酸化カルシウムと水酸化カルシウムよりは弱い傾向を示した.これらの結果は,f-HSSPは強い大腸菌殺菌作用に加え,殺インフルエンザウイルス作用があることを示している.いずれにしても,このように少なくともc-HSSPより強力な抗微生物作用を有するf-HSSPは,感染看護の視点からも,様々な医療器具・看護器材の有用な天然資材と思われた.興味あることは,リン酸緩衝食塩水に懸濁すると,これらの作用は100倍から1000倍に減弱することであった.この知見に加え,4試薬間の生物活性の強さの違いの研究は今後の検討課題として残った.
著者
-
村田 亜悠美
富山大学医学部看護学科感染看護学
-
小尾 信子
富山大学医学部医学科和漢診療学
-
中平 比沙子
富山大学医学部看護学科感染看護学
-
宮原 龍郎
富山大学医学部看護学科感染看護学
-
落合 宏
富山大学医学部看護学科感染看護学
-
落合 宏
富山大学 医学部看護学科基礎看護講座
-
落合 宏
富山大学医学部看護学科人間科学
関連論文
- 終末期がん患者の男性家族員が捉えたギアチェンジ
- 感染予防からみた緑茶の特性に関する研究
- ホタテ貝殻焼成粉末の殺菌および殺インフルエンザウイルス作用について
- LAMP法によるセラチア菌の迅速検出に関する研究
- ポリクオタニウム-51含有エタノールの手指消毒効果とマウス皮膚保護作用