女性支援教育と高等教育システム : 大妻女子大学調査から(2)
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概要
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女性支援教育は、たんにジェンダー論や女性学を教えるということではなく、長期的に女性を支援するものとして、カリキュラムの体系として、また大学全体の取り組みとして行われる必要がある。筆者は女子大学の社会的位置づけを探るべく、女性支援教育という新たな概念を軸に、文献調査、大妻女子大学の在校生ならびに卒業生を対象とした質問紙調査を行った。本稿ならびにその前編である「女性支援教育の課題探索-大妻女子大学調査から(1)-」は、このうち「女性支援教育にかんする基礎調査」のなかからジェンダー論・女性学に関連する項目について分析を行い、女性支援教育への基礎データを提供することを目的としている。学習意欲にかんしては、ジェンダー論を扱った授業と他の一般的な課目の連関が問題となった。学生にはジェンダー論の視点を組み込んだ授業を求める傾向があり、またジェンダー論を含んだ授業を連関させて履修している学生は学習意欲の増進を経験している。このことから、大学全体としてジェンダーの視点をより多くの科目で充実させ、相互に関連させたカリキュラムの策定が求められているといえる。また、調査からはジェンダー論の必修化の必要性も指摘された。男性教員の意識改革も必要である。男性教員は女性教員に比べて「女性の社会進出への支援」が低いと評価されており、また一部には性差別的言動もみられるようである。さらに事務セクションではこの傾向はより顕著であり、教員・事務職員の間でなんらかのジェンダー論的知見の共有が求められているといえる。学卒後の意識変化をみると、ジェンダー論の授業は卒業生の人生における大きな選択の際に一定程度の影響を与えており、このことから、女性支援教育としてのジェンダー論の授業は、長期的展望にたってなされる必要があるといえる。女性支援教育は、カリキュラムの体系として、また大学全体の取り組みとして行われる必要があるのみならず、既存の男性中心的な学問体系を再編成する機会をもたらすものである。さらに若年学生にかぎらず、年配者の再教育の場としての役割も指摘された。今後の課題としては、女性支援教育の実態にかんする女子大学への調査、教職員の意識改革の方策、必要なカリキュラム体系の構築、女性支援という視点に立ったテキストや教材の開発などが挙げられるだろう。
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