心的傾向としての植民地主義 : 植民地主義をめぐる基礎的考察(I)
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概要
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これまで植民地主義は主に政治制度と歴史性に結び付けて論じられてきた。しかしそのような認識枠組みでは,制度としては消滅しても実効的に存続する植民地主義を問題化できない。また,この社会に遍在する植民地主義的な支配関係も捉えることができない。本稿では,植民地主義を制度や歴史性の問題ではなく,心的傾向の問題として再定義したい。それによって,社会に遍在する支配関係において,植民地主義の痕跡を発見することが可能になり,さらにはコロニアリストの心性の問題としてその責任を問題化することが可能になる。さらに本稿では,国民国家システムにおけるフォーディズム体制が社会の分業化を促し,被抑圧者を創設し,やがて本質主義によって正当化してきたことを整理する。その過程では,コロニアリストによる支配に際しての共通の手法が発見できる。支配関係を指し示す言説の欠落,区別論,被支配者への問題の転嫁,被支配者への介入と分断,被支配者の多様性の賞賛,自己欺瞞の強要,などである。これらの手法を注意深く見ることによって,制度化された支配の中に植民地主義の痕跡を発見し,「心の支配」の問題に転換して捉え直すための視点を模索する。
- 大妻女子大学の論文
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