おばけは生まれ変わることができるか? : 植民地主義をめぐる基礎的考察(III)
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概要
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植民地主義の分析において、最も重要な要素は"主体"である。"マジョリティ"と呼ばれる人びとは、しばしばこの"主体"への意識が欠落している。同時に、欠落していることが"マジョリティ"であることを可能にしているのだ。このような"マジョリティ"は無責任で、無根拠で、応答責任性を拒否する"空虚な主体"として存在しており、あたかも精神的な"おばけ"のような存在である。このような主体性の欠落は、想像力の貧困さに起因している。"マジョリティ"とは、想像力を奪われた存在でもある。このような"マジョリティ"は、抑圧関係における支配者と被支配者という、二項対立を隠蔽することによって維持される。支配者の多様性と被支配者の多様性が強調されることは、その両者の間に存在する権力関係を不明確にし、その結果として支配関係は維持される。支配関係を脱構築するためには、なによりも二項対立を分析の対象にしなければならない。また"空虚な主体"は、容易にネーションや共同体に同一化する"危険な主体"へと変容する可能性がある。それは人気TVドラマ『北の国から』における、近代家族から共同体へと、パトリオティズムを経由して変化する登場人物たちの主体性をモデルとして考えることが可能であろう。植民地主義と主体を考えるには、"マジョリティ"の想像力と応答責任性の欠落を問題としなくてはならない。"空虚"でも"危険"でもない、新しい応答主体の可能性を探るためには、この点が重要である。
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