各種のいろぐりあ細胞及ビ中樞神經纎維ノ組織病理(第4回報告)
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概要
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蛛蜘膜下腔内ニ諸種ノ制腐藥ヲ注入シ,腦組織成分各要素ノ反應状態ヲ觀察シテ,之等藥劑ガ化膿性腦膜炎ニ對スル應用ノ可否ヲ決定セントシタ.實驗ニハ成熱家兎ヲ用ヒ,下記ノ如キ方法ニヨリ施行シタ.對照實驗:1)穿刺ノミノ實驗.2)蒸溜水注入實驗.3)生理的食鹽水注入實驗.藥液注入實驗:本實驗列ニ使用シタ藥劑ハ次ノ如クデアル.0.05-0.1%ふるめよじん,0.05-0.1%ぶりりあんとぐりゆーん,0.1-0.5%とりぱふらびん,0.05-0.1%りばのーる,0.1%昇汞,0.1%るごーる,1%鹽酸おぷとひん,0.03%すぺちよーど,2%えれくとらるごーる,30%へさちらみん等ノ0.1-0.2ccヲ蜘蛛膜下腔内ニ注入シ,臨牀上及ビ病理組織學上ニ現レル種々ノ所見ニ就テ研索ヲ行ツタ.臨牀上ノ主徴候トシテハ殆ド總テノ症例ニ於テ呼吸及ビ心搏ノ異常,輕度ノ運動障礙及ビ時ニハ眼結膜ノ充血,特發性眼球震盪等ヲ現ス.然シ,へさちらみん,えれくとらるごーる,るごーる,すぺちよーどニ於テハ極メテ瞬時間デ消褪スルノヲ常トスル.他ノ諸種ノ藥液ニアツテハ其他知覺,運動ノ障礙ガ四肢ニ現レ,齒牙爆鳴,流涎等モ屡々出現シテ,動物ハ不安過敏性トナツテ,遂ニハ直腸,膀胱障礙ヲ起シ,屎尿ヲ失禁シ,漸次羸痩シ,體重ハ減少シ又時ニ體温ノ下降,四肢ノ麻痺ヲ來シテ死亡スルモノガ多イ.剖見的所見トシテ注入部ヲ中心ニ腦膜ハ屡々充血ヲ認メルガ,ぶりりあんとぐりゆーん,ふるめよぢん,とりぱふらびん,昇汞等ヲ注入シタモノガ最モ著明デ,其他ノモノデハ比較的輕度デアル.尚其他ニモ著シイ溢血,壞死,腦脊髓膜ト實質トノ癒着等モ色素劑,昇汞,沃度丁幾等ニアツテハ常ニ發見セラレル所見デアル.又色素劑ニ於テハ其ノ濃度,分量,注入後生存時間等ニヨツテ多少ノ差異ハアルガ,小腦,延髓,大腦底部等ニ顯著ナ色ヲ認メル事ガ多イ.ぶりりあんとぐりゆーん,とりぱふらびん等ノ色素及ビ昇汞,沃度丁幾デハ神經纎維ニ著明ナ變化ヲ來ス.即チ纎維軸索ハ一般ニ腫脹,濃染シ,屈曲性ハ減ジ,邊縁モ粗〓トナツテ,結節樣肥厚ヲ示スモノガ多イ.更ニ變化ガ強度トナリ,顆粒状或ハ粉末樣ニ斷裂スルモノモ少クナイ,又すぺちよーど,鹽酸おぷとひん,るごーる等ニ於テ長期間實驗ヲ施行シタモノデハ纎維ハ淡染セラレ,萎縮シ,屈曲度ヲ増シテ,邊縁ハ不平トナルモノガ多イガ結節ヲ形成スルモノハ稀デアル.又屡々斷裂シテ顆粒状トナルモノモ少クナイ.えれくとらるごーるへさちらみん等ハ萎縮,淡染セラレルガ斷裂スル事ハ稀有デアル.まくろぐりあハ同樣,色素劑,昇汞,沃度丁幾ニアツテハ軟腦膜下ニ於テ細胞體及ビ突起ガ腫脹,淡染シ或ハ反對ニ汚穢ニ濃染セラレテ不規則ノ一小塊ニ變ズルモノ等色々退行性ニ變化スル.然シ其他ノ部位ニ存在スルまくろぐりあニハ殆ド特別ノ變化ヲ見ナイ.すぺちよーど,るごーる,おぷとひんニアツテハ長時間ノ實驗ニ際シテ本細胞ガ,皮質血管,腦室周縁,腦膜下部等ニ於テ蝟集シ,限局性増殖ヲ來シタモノガアツタガ,えれくとらるごーる,へさちらみん等デハ長期間ノ實驗ニ於テモ此ノ樣ナ所見ヲ呈スル事ハ稀デアル.又色素劑,其他,作用ノ強力ナモノデ,短時間ノ經過デ死亡シタモノデハ同樣まくろぐりあノ進行性機轉ヲ見ル事ハナカツタ.みくろぐりあハ急激ナ臨牀症牀ヲ呈シテ死亡シタ色素劑,昇汞,沃度丁幾ノ大部分及ビすぺちよーど,おぷとひん等ノ一部デハ汎發性増殖ヲ著明ニ認メ,尚各所ニ限局性増殖ヲモ發見シタ.然シ大部分ノすぺちよーど,鹽酸おぷとひん及ビへさちらみん,えれくとらるごーる等デハ増殖性機轉ハ極メテ薄弱カ或ハ全ク認メナイ.又本細胞ノ形態モ前者ニアツテハ腫脹型ノ變化強ク,桿状細胞,脂肪顆粒樣細胞モ多數ニ出現シタガ,後者殊ニへさちらみん,えれくとらるごーるデハ形態ノ變化モ極メテ輕微デアル.おりごでんどろぐりあハ實驗ノ長短ニヨツテ形態上ノ變化ニハ差異認メナイ.一般ニ細胞體ノ腫大,突起ノ消失等ヲ共ノ變化ノ主ナルモノトスル.増殖性機轉モ局限性,汎發性共ニ認メルモノモアルが,其ノ程度ハ左程著シクハナイ.色素劑,昇汞,沃度丁幾ガ變化強ク,次デすぺちよーど,おぷとひん,るごーるデへさちらみろん,えれくとらるごーるニテハ殆ド認ムベキ所見ヲ呈シナイ.以上ノ實驗成績カラシテ,えれくとらるごーるハ最モ吾人ノ目的ニ一致シタ脊髓管内注入藥デ,之ニ次グモノハへさちらみをデアル.昇汞,沃度丁幾ハ勿論,我々ノ最モ期待シタとりぱふらびん,ぶりりあんとぐりゆーん,ふるめよじん,りばのーる等ノ色素製劑ハ脊髓腔内應用ニ適シナイ事ヲ知悉シタ.
- 京都府立医科大学の論文
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