各種のいろぐりあ細胞及ビ中樞神經纎維ノ組織病理(第3回報告)
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概要
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種痘後腦炎ノ組織病理ヲ詳カニシ併セテ其ノ成立機轉ヲ知ラントシテ本實驗ヲ企圖シタ.實驗ニハ成熟家兎ヲ用ヒ之ヲ次ノ三群ニ分ツテ施行シタ.1)痘毒,睾丸内接種ノ際ニ於ケル腦組織ノ變化.2)痘毒ヲ直接腦脊髓腔内ニ注入シタ場合.3)偶發性家兎腦炎ノ腦所見而シテ第1及ビ第2ノ實驗群ニアツテハ強弱ノ差異ハアツテモ孰レモ神經纎維及ビ總テノぐりあ細胞ニ退行性變化ガ顯著デ,而モ此等組織ノ變化ハ嗜銀性ノ昂進,神經軸索,細胞及ビ突起ノ腫脹,斷裂,或ハ消失等ガ共通ノ所見デ一般中樞神經系統ノ急性炎衝性病變ノ際ニ於ケルモノト一致シ,又之等ぐりあ細胞變性ノ程度ハ神經纎維損傷ノ度ニ比例シ,殊ニ斯カル病的要約ニ對シテ比較的抵抗力強ク,主トシテ治癒工作ニ關與スルまくろぐりあモ他ノぐりあ細胞同樣,專ラ退行性變化ヲ示シ,特ニ増加スル傾向ガナイ.即チ本實驗デハ腦組織ヲ構成スル細胞ハ凡テ破壌ノ道程ノミヲ辿リ,治癒ノ片鱗スラ認メル事ガ出來ナカツタ.從來一般ニ種痘後腦炎ガ歐洲殊ニ家兎腦髓ヲ以テ痘毒ヲ作製スル地方ニ流行性ニ出現スル事實ヨリ,偶發生家兎腦炎ガ本症發生ノ上ニ一役ヲ演ズル事ヲ想像サレルガ,吾々ハ前實驗ニ於テ殊ニ其ノ第一實驗ヨリシテ家兎腦髓ガ痘瘡毒ニ對シ,特殊ノ親和性ヲ有シ,外見上何等臨牀上ニ微候ヲ呈示セナイ場合デモ種痘後ニハ容易ニ腦炎發病ノ基地ヲ作ルモノデアル事ヲ知悉シタ.又更ニ第3實驗ニヨツテ余ハ家兎ニハ往々偶發性ニ腦炎ノ症状ヲ現スルモノガアリ,而モ斯カル動物ノ腦髓ニハ病理組織學上ニモ立派ニ腦炎ノ所見ヲ呈スルモノデアル事ヲ明ニシタ.故ニ如上ノ事實ヲ綜合シテ種痘後腦炎發生機轉ニ對シ,余ハ次ノ如クニ結論シタ.即チ家兎腦内ニハ其ノ本態ノ未ダ不明ナ或ル濾過性病原體ガ常ニ潛在性ニ隱レ,コレガ神經ト緊密ナ親和性ヲ有スル痘毒ト遭遇シテ,其ノ活動性ガ賦與セラレ,毒力ガ覺醒サレテ本合併症ガ構成セラレタモノト思惟スル.
- 京都府立医科大学の論文
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