各種のいろぐりあ細胞及ビ中樞神經纎維ノ組織病理(第一回報告)
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概要
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中樞神經系統ニ於ケル病理組織學的研究ノ對照ガ神經膠質細胞ニアル事ハ云フ迄モナイ.殊ニ神經膠質細胞ハ其ノ表現法ガ複雑ニシテ且不恒定デアルガ爲ニ今日迄種々ノ染色法ガ考按せラレタニ拘ラズ一長一短アリ,滿足チ結果ヲ得ルニ至ラナカツタ.然シ最近ぐりあ細胞中,表現ノ最モ至難トモラレタみくろぐりあ細胞ノ染色ニ對シテ教室三宅川氏ハ比較的恒定的ニ且明瞭ニ本細胞ヲ染色スル事ニ成功シ,神經膠質細胞ノ研究ニ對シテ一歩ヲ進メタ.余ハ更ニ神經膠質細胞各個ニ就テ其ノ組織病理ニ對シテ詳細ナ研索ヲ遂ゲントシテ,種々中樞神經系統ノ病的機轉ニ對スル之等細胞ノ反應状況ヲ知リ,同時ニ中樞神經纎維軸索ノ變化ヲモ探究シテ兩者ノ關係ヲ明ニセントシタ.染色法トシテハ主トシテ下記ノ方法ニ依ツタ.中樞神經纎維=Cajal氏鍍銀法中本氏變法.まくろぐり=Cajal氏金昇汞法みくろぐりあ=Hortega氏染色法三宅川氏變法.おりごでんどぐりあ=同上而シテ種々ノ實驗ヲ施行シ,其ノ第一回報告トシテ各種化膿性細菌簇ヲ用ヒテ實驗的化膿性腦膜炎ヲ惹起セシメ,其ノ腦組織ノ變化ヲ研索シタ.實驗ニ使用シタ起炎菌中,變化ノ最モ高度デアツタノハ葡萄状球菌,連鎖状球菌デアツテ,肺炎球菌,腦膜炎球菌等ノ球菌簇ハ之ニ次ギ,緑膿菌,いんふるえんざ菌,大腸菌等ノ桿菌類デハ其ノ變化ガ比較的輕度デアル.此等細菌ヲ二種又ハ其レ以上混合シテ所謂混合感染ニ依ツテ化膿性腦膜炎ヲ惹起セシメタ場合ニハ其ノ毒力ガ増強セラレ,臨牀症状モ組織學的變化モ遙ニ高度トナル.結核菌ニヨル結核性腦膜炎ノ實驗ニアツテハ上述ノ實驗トハ全ク別個ノ態度ヲ取ルモノデアツテ經過ハ遷延性デ腦組織ノ變化モ著シク趣ヲ異ニスル.神經纎維ノ變化トシテハ軸索ノ腫脹,嗜銀性ノ昂進,邊縁ノ粗〓,結節樣肥厚等ヲ示シ.更ニ變化ノ高度トナツタ時ニハ斷裂シ,遂ニハ顆粒樣,粉末樣ニ崩壌スル.斯カル變化ハ皮質殊ニ其ノ表層部ニ於テ顯著デアツテ,大腦皮質ノ切線纎維,小腦もーす,くれつてる纎維等ニ於テ最モ強イ.髓質ノ變化ハ比較的輕度デアル.みくろぐりあノ變化ハ神經膠質細胞中最モ變化ノ高度ナモノデアツテ進行性機轉トシテ汎發性及ビ限局性ニ増殖シ,個々ノ細胞ハ原形質突起ノ腫大,嗜銀性ノ昂進等著シク,突起ハ更ニ短縮,消失シ,原形質内ニ脂肪又ハ嗜銀性顆粒ヲ含有シ,脂肪顆粒状細胞,桿状細胞等ニ移行スルモノモ少クナイ.結核性腦膜炎ニ於テハ變化輕度ニシテ増殖性傾向等殆ドナク,細胞ハ染色性低下シ,突起ハ萎縮セルモノガ多イ.まくろぐりあハ増殖性機轉ヲ示ス事ハ稀デ唯ダ結核性腦膜炎ノ時ニノミ汎發性ノ増生ヲ認メル.然シ,退行性燮化ハ比較的強ク,腦膜下部,腦室周縁部等ニ於テ細胞ハ屡々腫大,淡染シテ突起ノ斷裂又ハ消失スルモノヲ多數ニ認メノル.むりごでんどろぐりあモ屡々大腦皮質ニアツテ汎發性ニ増殖シ,又皮質血管,神經節細胞ノ周圍ニ於テ限局性ニモ増加スル.細胞體ハ著シク腫大,淡染シ,突起ノ消失スル事モ少クナイ.本ぐりあ細胞モ亦體内ニ脂肪顆粒ヲ攝取シテ脂肪顆粒状細胞トナル事ガアル.
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