成育ト酵素作用トニ關スル研究補遺 : 第1篇 澱粉分解酵素
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概要
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凡ソ生活體ノ成育,即チ細胞分裂及ビ細胞増殖ニヨル質的變化及ビ量的増加ハ實ニ複雜ナル關係ヲ有スルモノナリ.而シテ之ニ關スル研究ハ,現在主トシテ形態學的檢索ニヨリテナサレオルモ,生化學的見地ヨリノ研究ヲ俟タズシテハ其正鵠ヲ期シ難シ.依リテ著者ハ之等化學的變化ノ根源ヲナス酵素作用ガ,生活體ノ發育初期ニ於テ如何ナル態度ヲトルヤヲ研究セントセリ.然レドモ本研究ニ當リテ,其材料ヲ動物體ニ求ムレバ,實施上幾多ノ困難ヲ伴フガ故ニ,不止得材料ヲ植物體ニ求メ,其ノ間ノ消長ヲ檢索セリ.實驗材料トシテハ,朝鮮順川大豆ヲ使用シ,其レノ風乾大豆,日光遮斷時ノ胚種部,幼莖部,幼根部及ビ日光照射時ノ各部ヲ分チ,一書夜水潤シ,後磨碎シ,適量ノくろろふおるむ水ヲ加ヘ,10%えむるじおんヲ作リ,氷室内ニ48時間自家融解セシメタル後,其濾液ヲ酵素液トシテ實驗セリ.尚他方上記各被驗物ニ就テ,水分含有量ヲ測定セリ.作用基質トシテハ1.0%ノ可溶牲澱粉溶液ヲ使用シ,Sorensenノ枸櫞酸鹽,或ハ硼酸鹽緩衝液ヲ附加シ,種々ノ水素いおん濃度トナシ,37℃ニ於テ48時間作用セシメクリ.斯クシテ糖量ヲBertrand氏法ニヨリテ測定シ,葡萄糖量ニ換算セリ.之ヲ各例毎ニ對照試驗ト比較セリ.實驗成績ヲ總括スレバ次ノ如シ.1.頂川大豆ヲ使用シテ,風乾大豆,日光遮斷時並ニ日光照射時,各時ノ胚種部,幼莖部,幼根部ニ就テ夫々澱粉分解酵素作用及ビ水分含有量ヲ測定セリ.2.各部ニ於ケル澱粉分解酵素作用ノ至適pHハ次ノ如シ.風乾大豆 日光遮斷時發芽 日光照射時發芽 5.5 胚種部 3.3 5.5 7.8 幼莖部 5.5 7.8 幼根部 7.8 7.8即チ胚種部幼莖部ノ澱粉分解酵素ノ至適pHハ日光遮斷ニヨツテ酸性ニ傾クモ,幼根部ニ於テハ日光遮斷時,日光照射共ニpH.7.8ナル事ヲ知レリ.之レ恐クハ此二ツノ場合ハ地下ニテ日光ヨリ遮斷サレタルガ爲ナラン.3.日光遮斷時及ビ日光照射時ノ發芽ノ澱粉分解酵素作用ノ活性ヲ比較スルニ,後者ハ前者ニ比シテ非常ナル増加ヲ示ス.今至適pHニ於テ彼此ヲ比較スレバ次ノ如シ.日光遮斷時發芽 日光照射時發芽 胚種部 1.00 17.03 幼莖部 429 48.64 幼根部 2.67 59.054.日光ハ酵素ノ合成或ハ活性ニ影響ヲ及ボスモノニシテ,特ニ幼若植物ノ澱粉分解酵素ニ於テ然リトス.
- 京都府立医科大学の論文
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