皮膚疾患ニ於ケル血中貯藏あるかりニ就テ
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概要
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私ハ既往2ヶ年有餘ニ亘リ我皮膚科教室入院及ビ外來患者ニ就テ,Van slyke & Cullenノ方法ヲ用ヒテ,血漿内炭酸瓦斯含有量ヲ檢シタルヲ以テ此處ニ發表セント思フ.而シ本研究ハ餘程古クヨリ行ハレテヰタモノデアツテ,我國ニ於テモ既ニ大正九年ニハ土肥及ビ根岸ニヨリ發表セラレテ居リ,ソノ翌年米田及ビ山田ニヨリ發表セラレル所ガアリ,又昭和二年ニ於テハ根岸ノ詳細ニ發表スル所ガアツテ,今更ラシク斯ノ如キ事ヲ述ベルハ全ク陳腐ノ感ナキヲ得ナイ.而シ之等ノ學者ノ發表スル所ハ各々皆一定ノ變化ヲ認メテヰルモノナルガ,外國人ノ發表スル所ニハ往々ニシテ何等ノ變化ヲ見トメヌモノガアル.其デ私ハコノ間ヲモ少シ明瞭ニ致シ度イト思ツテ本研究ニ着手シタノデアツタガ,タマタマ昨年ニ至ツテGrafハ,私ト同樣ノ考ヘデ100例ノ患者ニツキ檢シタルニ,全ク正常デアツタ事ヲ述ベテヰル.之ニ反シテ,私ノ成績ハ私ノ豫想ヲ裏切ツテ,ヤハリ多少ノ變化ヲ認メネバナラヌ樣ニナツテ了ツタ.即チ私ノ得タル結果ハ次ノ如キモノデアツテ寧ロ根岸ノ發表スル所ト類似シテヰル.1)小兒ノ尋常性白斑,濕疹,紫斑及ビ結節性紅斑ニ於テハ常ニ輕度ノacidosisヲ認メル(40-44%).而シ大人ノ之等ノ疾患ハ全ク正常デアル.2)色素性乾皮症ハ大人ニ於テモ小兒ニ於テモ輕度ノacidosisヲ證明スル.3)大人ノ圓形脱毛症.黴毒,帶状疱疹,皮膚炎,粃糠性脱毛症,乾癬,あんちぴりん疹,毛孔性紅色粃糠疹,白癬,狼瘡状毛瘡,ばざん氏硬結性紅斑,貧血性母斑,及ビ前述ノ尋常性白斑,濕疹及ビ紫斑ニ於テハ全ク正常デアル.4)大人ノ蕁麻疹ノ1例及ビ黒色表皮腫ハ甚ダ輕度ノ減少ヲ見タガ,寧ロ正常ニ近キモノト考ヘラレル.5)癢疹,多型滲出性紅斑,へぶら氏紅色粃糠疹ニ於テハ屡々acidosisヲ認メル.又皮膚〓痒症ノ1例モ輕度ノ減少ヲ示シテヰタ。要スルニ我ガ國ニ於テハ皮膚疾患ノ場合ニ尚多少ノacidosisノ來ル事ヲ認メネバナラナイ,而シ之ハ吾人ガ以前ニ考ヘテイタ程,其程屡ニ來ルモノデハナイ.
著者
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