多雪地の皆伐跡地における更新作業の違いが森林の種組成と更新木の密度に及ぼす影響
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概要
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スギ植栽による人工更新および天然下種更新での除草剤散布の有無という3種類の異なる処理区間及び処理前の林床植生を比較することで更新作業の違いが森林の種組成と樹木の更新密度に及ぼす影響を明らかにした。調査区は約65年生のスギと広葉樹が混交した林分を皆伐し,地拵えを行った場所で1984年に設け,8年生と13年生時に調査を行った。植物種多様度(d,H')が高いのは,人工更新地であり,大高木の更新密度が高いのは除草剤散布地と人工更新地であった。種多様度と更新密度を高める要因としては,皆伐後の光環境の改善,材の搬出作業や地拵え・植栽作業による地表撹乱とササなどの抑制が考えられた。一方,チシマザサの強度の優占や除草剤散布による草本類の枯死は,種多様度を低くする要因であった。8年生から13年生までの変化をみると,上層木が成長し,いくつかの先駆種が消滅して森林の階層化が進んだ。除草剤散布部分では草本の回復は,まだ認められなかった。人工更新地での作業(植栽と下刈り)は,ササを極端に優占させたり,草本植物を枯死させたりすることなしに,高い更新密度を得るという特徴があった。
- 森林立地学会の論文
- 2005-06-25
著者
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