多雪地のスギ造林地に侵入したウダイカンバの消長に及ぼす下刈り, 除伐の影響
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概要
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下刈り, 除伐影響下でのウダイカンバの定着過程を樹高成長と萌芽特性から検討した。ウダイカンバは萌芽を発生しないため, 下刈り期間中における, その稚樹の死亡率は他の広葉樹に比べ高かった。しかし, その期間内では幹が切断されても, 下部に着生する側枝が立ち上がるため, 下刈り終了から1年後になお6,900本/haの稚樹が生存できた。下刈り終了から5年間の平均樹高成長量はウダイカンバで63 cm/年, 他の広葉樹で31 cm/年であるため, ウダイカンバは他の広葉樹より上層に生育して優占できた。ウダイカンバは10年生でスギと同等の樹高に達し, スギを被圧したため, 除伐が必要な時期となった。この時のウダイカンバの平均枝下高は169 cmであるため, この時点での除伐はウダイカンバの枯死率を高めることが予想された。このように長期間の下刈りや除伐はウダイカンバの密度を著しく低下させる。特に不成績造林地では, 森林の成長を補償するためにウダイカンバを減少させないような施業方法を検討すべきであると考えられた。
- 1998-08-16
著者
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