ブナ-ホオノキ林分の林分構造とホオノキ実生稚樹の生存
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概要
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岡山県西粟倉村にある若杉峠のブナ-ホオノキ林分において,その林分の成立過程を明らかにするため,1.2haの調査地を設定し林分構造とホオノキの実生稚樹の生存を調べた。調査地内でホオノキは胸高断面積比及び林冠木構成比で約30%を占めた。ホオノキは約100年前にほぼ一斉に更新したものと考えられ,その更新時期は先駆樹種のミズメの更新時期とほぼ同時期と推察された。調査地内のホオノキとミズメは林冠層で同所的に分布していると考えられ,林冠層に面積250〜2,000m^2の"ホオノキ・ミズメ林冠パッチ"を形成していた。1994年7月中旬にホオノキ実生が少数発芽したが,10月から翌年5月の冬期間に発芽個体の35%以上が枯損し,発芽2年後には全ての実生が枯死した。こうしたホオノキ実生の生存率の低さと発芽数の少なさが調査地内でホオノキの稚樹(胸高直径4cm未満,苗高20cm以上)が見られなかったことに関係していると考えた。これらの結果から,面積250〜2,000m^2規模の撹乱が調査地内に数カ所ほぼ同時に生じ,撹乱後ホオノキとミズメが一斉に出現してパッチが形成されたと考えた。
- 森林立地学会の論文
- 1997-06-30
著者
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水永 博己
鹿児島大学農学部生物環境学科
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氷水 博己
鹿児島大学農学部
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中島 嘉彦
岡山県林業試験場
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中島 嘉彦
岡山県林試
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中島 嘉彦
岡山県林業試験場業務部
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水永 博己
鹿児島大学農学部:(現)静岡大学農学部
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