つわもの道 : 時代がつくる男のスタイル
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概要
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日本では、律令体制が固まるころから、政治・社会・文化いずれの面でも、中央と地方、中心と周縁という二項対立で動いてきた。中心から周縁を見下す姿勢が「みやび」という平安時代のオリジナルな美意識を磨きあげた。しかし平安時代後期から、周縁性そのものを体現した荒々しい人間が周辺に出没し、中央の都びとを脅かしはじめる。かつては貴族たちに「侍る」ものであった侍たちである。侍たちは互いに武力・胆力・武勇を競いあった。そんな人間の器を誇るつわものたちが、蔑視の中にあった周縁から中央へとずかずかと進出しはじめ、野性の男らしい生き方を都びとに誇示する。中心もそれらつわものなしに政治権力は維持しえず、蔑んでいた侍の道、つわもの道を受け入れざるを得なくなってきた。武者の世を演出する新しいタイプの人間、「みやび」を踏みにじる荒くれた道義に生きる男たちである。つわもの道は男たちが名を賭けて貫く恥の美学であった。
著者
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