アミロペクチン鎖長分布に基づくデンプン特性解析法(作物生理研究法,連載ミニレビュー)
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概要
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アミロペクチンの分子構造を分析する技術の進歩により,アミロペクチンの鎖長分布がコメの食味や餅の固まりやすさなど,作物の食味や加工適性に関わる重要な特性であることが明確になった.デンプンの70〜100%を占めるアミロペクチンの鎖長分布は,デンプン合成に携わる酵素の活性バランスや,貯蔵器官内でデンプンが合成される時期の温度の影響を受けている.これまでアミロース含量がデンプン特性や穀類の食味,とくに「粘り」の指標値として用いられてきたが,アミロペクチン鎖長分布(以下,「鎖長分布」と略す)の特徴もデンプン糊化温度や物性と強く結びついている.そのため育種においても鎖長分布の測定が注目され,アミロペクチンの多様性を発掘するための遺伝子資源のスクリーニング等に用いられるようになってきた.本稿では,筆者が鎖長分布の解析に用いてきたHPAEC-PAD法とFACE法を中心に解析方法の紹介をすると共に,鎖長分布の特徴とデンプン特性との関連,鎖長分布に影響を及ぼす要因について解説する.また,他の分析法や解析法との組み合わせについても触れたい.なお,作物デンプンに共通する部分も多いが,ここでは筆者の主な研究対象であるイネ,コメを中心とした記載となることをご了承いただきたい.
- 2009-01-05
著者
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