<鹿踊りのはじまり>という物語 : <歩きつづける男>の話
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概要
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本稿は、童話集である『注文の多い料理店』のうち、その最後に置かれた「鹿踊りのはじまり」について、重層する<とき>の意味と語りの構造を中心に、<賢治>という<身体>がそのうちに刻印した《はじまり》の意味を考察したものである。あわせて、語り手でもある<わたくし>の身体性と、そこに刻印されたように思われる<もう一人の自分>について、それを<歩きつづける男>の物語として性格づけ、構造化した。特に最後の場面の中に、生命の始原から遠く隔たってしまい、いまやその<自己>のうちに閉ざされた<時間>を生きるしかない<もう一人の自分>、いわば《他者》としての<自己>を抱えることになる人間の背理と矛盾について、その意味を指摘した。あわせて、その<歩きつづける男>の存在的緑取りについても、他の作品の場合とあわせて、その性格を指摘した。
著者
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