漱石の女性表現 : 文化テクストとしての〈漱石〉
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概要
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『三四郎』『それから』『門』のいわゆる前期三部作を起点として、そこに表現される〈男と女〉の物語を読み解きながら、〈漱石〉というテクストに立ちあらわれて-る《女》の身体とその〈言葉〉の意味について考察する。例えば、女たちの言葉は〈結婚という制度〉に探く拉致され、抑圧され、閉ざされているようにみえる。しかし、晩年の作品に至り、女たちの言葉は鋭く反転し、それまで閉ざされつつづけてきた男たちの制度や社会の根源にむかって激しく異議申し立てをおこなっている。そこでは、自己を支えるべきいかなる根拠をも見いだし得ないという空虚感こそがその〈女たち〉の〈言葉〉の先端を洗っているのであり、そこに紡がれる〈女〉の〈言葉〉はまた、男たちが紡ぎだしてきた《近代》という《物語》そのものを激しく拒絶している。
- 山梨英和大学の論文
- 2000-10-10
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