自閉症における顔刺激反復に対する慣れの失敗 : 事象関連脳電位による検討
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概要
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自閉症における定位反応と慣れの異常は、自律神経系の指標を中心に報告され、中枢神経系の指標、例えば脳波の事象関連脳電位(ERPs)を用いた検討は多くない。本研究は、3種類のカラーの顔写真(自己相貌・既知相貌・未知相貌)の1つを5回以上反復した後で残りのどちらかの顔写真を提示し、再び反復した顔写真を提示する「慣れパラダイム」を用いて、ERPsのN1・P2a・P2bという波の出現時間と振幅の変化を健常者群(n=21)と自閉症群(n=5)の間で比較した。本研究において明らかになった知見は、健常者群のP2bでのみ顔写真の反復提示により振幅の減衰(慣れ)が生じたが、自閉症群のP2bで慣れが確認されなかったことである。 P2bで慣れが確認されたことから、この脳波成分が生体の定位反応性の機能を反映するものと考えられた。しかし、P2bに反映される認知過程は未だに不明瞭であるため、さらなる検討が必要である。また、自閉症群の被験者数が少ないため、さらにデータを積み重ねる必要もある。
著者
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