極超音速風洞で用いている気体モデル
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概要
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宇宙航空研究開発機構の風洞技術開発センターは、ノズル出口直径0.5 m のマッハ数5, 7, 9 極超音速風洞、ノズル出口直径1.27 m のマッハ数10 極超音速風洞、およびノズル出口直径0.44 m のマッハ数10, 12 極超音速衝撃風洞を有している。極超音速気流は高圧空気をノズルにより加速、真空中に噴出することにより作る。断熱膨張による空気の液化を防ぐため、あらかじめ高圧空気を加熱してからノズルに送り込む。加熱の方法に衝撃風洞と他の二つの風洞とでは違いはあるが、得た高圧高温空気をノズルにより加速する原理は共通である。これら極超音速風洞では、予めピトー管を用いた校正試験をして、そのノズルで実現できるマッハ数を検定しておく。その時、ピトー圧とマッハ数と関係付けるため気体モデルを用いる。一方、力測定試験を実施し無次元空力係数を求める場合に必要になる動圧はよどみ点での測定量と校正したマッハ数から気体モデルを用いて算出する。極超音速風洞では要請される精度に応じ三つのモデルを使い分けている。一番基本になるモデルは完全気体である。しかし、極超音速風洞のように高圧高温の空気になると、そのような理想的な扱いでは誤差が大きくなる。0.5 m極超音速風洞と0.44 m 極超音速衝撃風洞では所謂Thermally Perfect と呼ばれているモデルを、1.27 m極超音速風洞ではBeattie-Bridgeman モデルと言われるものを用いてきている。ただし、それらがどのようなモデルか、的確にまとめられていなかった。本書は、これら極超音速風洞で用いられているモデルをできるだけ共通の統一した表現で表わすとともに、それらのモデル間にどれほどの差があるのか、を示す。作成したFORTRAN プログラムは多くの人に用いていただきたく公開する。
著者
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