ポリ乳酸の特性と物性改良(<特集>循環型社会を支えるラクテートインダストリーの新たな研究潮流)
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概要
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ポリL-乳酸は脂肪族のポリエステルであり,そのモノマーであるL-乳酸は糖蜜などの乳酸発酵により得られる.出発原料がデンプンなどの再生産可能な資源であり,合成の一部分を発酵で行っていることより,脱化石資源,省エネルギータイプのバイオベースポリマーとして最も期待されている材料である.L-乳酸のみあるいはD-乳酸のみから合成されるポリL-乳酸(PLLA)およびポリD-乳酸(PDLA)は融点を170℃から180℃付近に示す結晶性の高分子であるが,L-乳酸とD-乳酸の混合物から得られるポリ乳酸は非晶性のポリD,L-乳酸(PDLLA)となり,約40から45℃のガラス転移温度以上では柔らかくなる.このようにモノマーである乳酸が光学活性を示すためにポリ乳酸も種々の立体構造を持ち,異なった物理的性資を示す.さらに,PLLAとPDLAの等量混合物内にステレオコンプレックスが生成し,これはPLLAあるいはPDLA単独とは異なった物理的性資を示す.このように,ポリ乳酸は次世代の高分子材料として期待されているが,成形時の結晶化速度が比較的低く,射出成形品の耐熱性向上のために,長期間の熱処理が必要となることが問題となっている.また 二軸伸張流動が主体であるブロー成型,フォームや発泡成形では,流動安定性に欠けると言われている.我々はこれらの問題点を,ステレオコンプレックスの生成を利用して改善することを試みており,以下にその結果を紹介する.
- 2008-07-25
著者
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