口蹄疫ウイルスO/JPN/2000のプラッククローン株の性状の比較(ウイルス学)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
口蹄疫ウイルスO/JPN/2000株のウイルス中に明らかに異なる2種類のタイプのウイルスが存在していた.一つはブラック形成能の著しく弱いSmall plaque virus(SPV)で,もう一つが大きいプラックを形成するLarge plaque virus(LPV)であった.プラック形成能に相反して一段増殖試験およびCPE形成能においてはSPVの方がやや優れていた.また, O/JPN/2000株に対するモノクローナル抗体を作製し, SPVおよびLPVに対してスクリーニングをおこなった結果,ウイルス中和試験および免疫染色においてSPVのみを識別することができた. SPVおよびLPVの遺伝子解析の結果, VP2の133番目とVP3の56番目のアミノ酸に相違がみられた.それぞれSPVはAsnとArg, LPVはAspとHisであった.乳飲みマウスに対する病原性はLPVのLD_<50>が10^2以下であったのに対しSPVでは10^5以上であった.これらの結果よりSPVの病原性は著しく低いことが推測された.またVP3の56番目アミノ酸に関してHisからArgへの変化は細胞馴化ウイルスで報告されていることから, O/JPN/2000株が典型的な症状を示さなかった一つの要因とも考えられる.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2008-07-25
著者
-
津田 知幸
(独)動物衛生研究所九州支所臨床ウイルス研究室
-
坂本 研一
動物衛生研究所国際重要伝染病研究チーム
-
坂本 研一
動物衛生研究所 細菌・寄生虫病研究チーム 牛病理ユニット
-
森岡 一樹
(独)動物衛生研究所国際重要伝染病研究チーム
-
深井 克彦
(独)動物衛生研究所国際重要伝染病研究チーム
-
大橋 誠一
(独)動物衛生研究所国際重要伝染病研究チーム
-
坂本 研一
(独)動物衛生研究所国際重要伝染病研究チーム
-
吉田 和生
(独)動物衛生研究所国際重要伝染病研究チーム
-
森岡 一樹
動物衛生研究所
-
吉田 和生
農林水産省家畜衛生試験場九州支場
-
津田 知幸
(独)動物衛生研究所国際重要伝染病研究チーム
関連論文
- イスラエル北部における2001年のアカバネウイルス流行に関する血清学的知見(短報)(臨床病理学)
- 日本における口蹄疫ウイルスの分離(ウイルス学)
- B17 鹿児島の牛舎で採集された Culicoides 属からのアルボウイルスの分離
- B109 鹿児島における牛舎で採集されたヌカカの季節消長(有用昆虫・昆虫機能利用・畜産・衛生・家屋害虫・脊髄動物・他)
- 口蹄疫ウイルスO/JPN/2000のプラッククローン株の性状の比較(ウイルス学)
- 口蹄疫に対するワクチン接種戦略について
- 韓国で発生した口蹄疫とわが国への侵入リスクについて
- ヨーロッパにおける口蹄疫と日本の対応
- 口蹄疫における豚の役割と世界での発生
- 牛疫ウイルスFusan株Cattle typeの病原性および感染牛からのウイルス排泄量の定量化
- 兵庫県下で発生した牛異常産例からのアカバネウイルスおよびアイノウイルス分離と抗体調査
- 動物の感染症から学ぶ(21・最終回)牛疫
- 牛から分離された新しいブニヤウイルス属シンブ群ウイルスの性状と浸潤状況
- 牛異常産--発生経過と対策について
- 12.口蹄疫ウイルス非構造タンパク質の発現と精製(一般講演,第79回麻布獣医学会)
- 長崎県で分離されたピートンウイルスの性状と浸潤状況
- 口蹄疫ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼに対する抗ウイルス剤のインビトロ活性
- 豚における抗ウイルス剤による口蹄疫ウイルスの排泄抑制
- 豚における口蹄疫 : 症状と疫学
- 口蹄疫に対する防疫資材としての抗ウイルス剤の開発 (特集 口蹄疫発生 : 防疫に対する科学的アプローチ)
- 2010年に宮崎県で発生した口蹄疫の診断と分離されたウイルスの性状 (特集 口蹄疫発生 : 防疫に対する科学的アプローチ)
- 1994年に流行した哺乳豚下痢の病原病理学的検討
- 日本で分離された口蹄疫ウイルスO/JPN/2000の病原性について
- 牛疫ウイルスFusan株Cattle type実験感染牛の病理組織学的特徴