保育者養成課程の学生による「保育者」カテゴリーの付与と引受
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概要
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本稿の目的は,保育者養成課程の学生の社会的カテゴリーの変容をたどることである.保育者をめざす学生にとって,在学期間とはすなわち社会的カテゴリーを付与する側から引き受ける側へと立場を変える期間でもある.学生は保育者カテゴリーにどのような意味を付与して入学し,それが学びによってどう変化するのか,社会的カテゴリーの変化過程を質問紙調査から明らかにする.分析の結果,幼稚園教諭や保育士を目指す学生の保育者カテゴリーは,付与する側から引き受ける側へと変化するにしたがって大きく変化することが明らかになった.入学時,男女学生は「保育者」を「家事育児の代替者」ととらえたり「第二の家庭の父母」ととらえたりする.そのような意味づけをもたらすのは,年少時に幼稚園教諭や保育士に出会った経験,中学時代に保育所や幼稚園で行われた職場体験などであった.ところが卒業時には保育は家庭とは別のものとして認識される.また男性は性別を強調した保育を目指すようになった.
著者
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